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全日本を東洋が制し、箱根は混戦?
本命はなお青学も、神野次第では……。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKyodo News
posted2015/11/09 10:30
胴上げされ、喜びを爆発させる東洋の酒井監督。青学を倒し、再び王座につくことができるか。
いまだ本命は青学、しかし……。
これで箱根が面白くなってきたことはいうまでもない。正直、青山学院大の三冠が有力だとは思っていたが、勢力図の見直しが必要となった。
それでも、競馬の予想風に全日本を箱根へのトライアルと考えると、結果が必ずしも箱根の順位に直結する大会でない。過去4年間、優勝した駒大が箱根では勝ちきれなかったことで、全日本と箱根の因果関係は薄れつつある。最後にふたつの駅伝を同時に制したのは、2010年度の早稲田が最後だ。
現時点で本命を打つとしたら、やはり青学大だろう。距離が延びてさらによし、エース級の選手たちは計算が立つ。特に一色の安定感、久保田の駅伝力は今季も際立っている。
気になるのはなんといっても神野の状態だ。ケガ明けで練習量が十分ではなかったとはいえ、8区で区間8位の結果には不安が残る。果たして前回同様、5区に起用するのだろうか。前回並みのタイムが難しいとなれば、他の大学にもチャンスが出てくる。
対抗は間違いなく、東洋大だ。服部兄弟と青学エース陣の対決は「箱根駅伝2016」の見せ場となるだろう。
往路で決着がつかなければ、復路のつなぎ区間が重要になってくる。
東洋大の選手たちの「不器用なほどの粘り」が箱根でも重要な意味を持ってきそうな気配だ。