プロレスのじかんBACK NUMBER
全人格をさらけ出して戦う内藤哲也。
ついに覚醒した“絶対音感”の男。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/10/20 18:20
すっかり悪役が身についてきた内藤。試合会場に吹き荒れるブーイングを、むしろ楽しそうに味わう余裕まで出てきた。
ついに“フルチン”になった内藤。
「天山(広吉)はもう終わってる。早く辞めたほうがいいんじゃないか?」
「柴田(勝頼)は何をしに新日本に戻ってきたんだ。『喧嘩売りに来ました』じゃなくて『安定を求めに来ました』の間違いじゃないのか」
「新日本という会社は棚橋が言ったことは絶対。棚橋が右と言えば右で、左と言えば左」
まさに制御不能となった。
タブー全開の、ある意味、人格と人生をかけたフルチンの言動に出た。はたして、その賭けは吉と出たのか、凶と出たのか。
前田日明もリングサイドに陣取る超満員の両国で内藤は、対戦相手の棚橋よりも圧倒的な声援を浴びた。
それがすべての答えだ。あれは歴史的な光景だった。