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混戦の10月と大穴カブス。
~MLBポストシーズンを大予想~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2015/10/10 10:30
「大穴」カブスを率いるジョー・マドン監督。MLB屈指の策士と言われる手腕が短期決戦で見られるか。
浮上してくるロイヤルズと大穴カブス。
となると、比較的弱点の少ないロイヤルズと大穴カブスが残る。どちらも中地区。ロイヤルズはスモール・ベースボールが得意だ。堅守好打でスピードがあり、ブルペンも充実している。今季は前半からずっと、安定した成績を維持してきた。
不安材料といえば、抑え投手グレッグ・ホランドの離脱だが、防御率0.94のウェイド・デイヴィスがすでに穴を埋めている。エースのジョニー・クエトも9月は不調だったが、10月の登板で復調の兆しを見せた。
一方のカブスは、若さと勢いが魅力だ。平均年齢26.9歳。先発メンバーには、新人が3人も名を連ねる(クリス・ブライアント、アディソン・ラッセル、カイル・シュウォーバー)。レギュラーシーズン終盤の10試合でも、8勝2敗の好成績でプレーオフに乗り込んできた。つまり、ポストシーズンに進出した10球団のなかでは、最も好調を維持している。
もうひとつの強みは、新監督に名将ジョー・マドンを迎えていることだ。ご承知のとおり、マドンは2008年と’11年にア・リーグ最優秀監督賞を受賞している。ポストシーズンでも、つねにしぶとく戦ってきた。'08年には、ワールドシリーズでフィリーズに敗退したものの、レイズをア・リーグ王者に導いているのだ。
カブスは台風の目になりうるだろうか。ポストシーズンでの勝利は'03年以来だ。最後にペナントを獲得したのは1945年で、ワールドシリーズを最後に制したのは1908年のことだった。「ヤギの呪い」は107年ぶりに破られるのか。それともまた、あと一歩のところで涙を呑むのか。これから先の戦いに注目していきたい。