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混戦の10月と大穴カブス。
~MLBポストシーズンを大予想~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byAFLO
posted2015/10/10 10:30
「大穴」カブスを率いるジョー・マドン監督。MLB屈指の策士と言われる手腕が短期決戦で見られるか。
唯一の100勝チームは故障者に泣くか。
2015年は両リーグとも中地区の強さが光った。ナ・リーグは3球団がポストシーズンに進出したし、ア・リーグにしたところでインディアンスの巻き返しがもう少し早かったら……と思わざるを得ない。
ただ、30球団中唯一の100勝チームとなったカーディナルスには疑問符をつけざるを得ない。最大の理由は故障者の多さだ。チームの要ヤディエル・モリーナ捕手はなんとか間に合うようだが、アダム・ウェインライト、マット・アダムス、マット・ホリデイらの状態がそろってよくない。さらにダメージが大きいのは、先発4本柱の一員として働いてきたカルロス・マルティネスの戦線離脱だ。まだ24歳と若く、今季急成長した投手だけに、首脳陣も頭が痛いだろう。
同じ24歳の大器マイケル・ワッカの乱調も気がかりだ。8月には5試合に先発して32回を投げ、3勝0敗、防御率1.13の好成績を残していたのに、9月に入ると、5試合(24イニングス)で2勝3敗、防御率7.88と数字が急降下した。投球回数が180イニングスを超えたことで(昨年は107回)ガス欠を起こしたのだろうか。疲労が蓄積しているようだと、ポストシーズンで一気に回復するのはむずかしいかもしれない。
その他の有力球団にも不安要素が……。
カーディナルス以外にも、有力球団はそれぞれ不安を抱える。ドジャースは、クレイトン・カーショー+ザック・グリンキーの二枚看板以外の投手陣(とくに中継ぎ)が弱い。メッツは、30球団中28位(2割4分4厘)のチーム打率が気にかかる。
ジョシュ・ドナルドソン+ホゼ・バティスタ+エドウィン・エンカーナシオンの猛打でア・リーグの本命に躍り出たブルージェイズの場合は、20歳の抑え投手ロベルト・オスナが危ない。'13年7月にトミー・ジョン手術を受け、今季がメジャー1年目だというのに、クローザーとして69回3分の2を投げさせられたのは、やはり酷使というべきだろう。9月以降、ラスト13試合の防御率が6.00。8月が11試合に投げて10セーヴ、防御率0.79と絶好調だっただけに、この急ブレーキは要注意だ。