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武藤は1トップ、原口は左の1番手?
ハリルJで起こる「配置替え」を読む。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/10/02 12:00
守備的なボランチを好むハリルが、柏木陽介を招集したことの意味は大きい。
絶好調の南野に、競争の火種を期待。
二宮 「気になったのは、監督が『我々の長所で勝負していく』、『ロングボールを放り込むのは我々のアイデンティティーにない』、『3人目、4人目を使いながらグラウンダーのプレーでスピードを持ってやりたい』と、アルベルト・ザッケローニ監督が語っていたようなことを口にするようになったことです」
デスク 「ザッケローニ監督も柏木をボランチでテストしようとしたことがあったよね。あとメンバー選考に戻ると、南野はちょっと驚いたけど」
二宮 「ザルツブルクで公式戦3試合連続ゴールを挙げるなど絶好調で、いつ呼ばれてもおかしくはない状況でした。監督は『非常に面白い選手。ボールのないところでの動きが良く、常にゴールを取る、(味方に)取らせるポジションにいる』と絶賛しています。永井のケガに加えて欧州に近い中東での2連戦ですし、国内組より欧州で注目していた南野を呼ぶなら今だと判断したのではないでしょうか」
デスク 「南野はリオ五輪世代のエースとしても期待が懸かってる。A代表で弾みをつけて、五輪世代を盛り上げてほしいね」
二宮 「若い世代が台頭してこなければ競争が生まれてきませんからね。フレッシュな南野がチームに新風を吹き込んでくれると面白いのですが」
原口がMFからFW登録になったことの意味は?
デスク 「前回、原口はMF登録だったけど、今回はFW登録。この意味って?」
二宮 「攻撃的なポジションはどこでもやれるというのが監督の原口評です。でもこれまでは香川の控えトップ下という序列だったのが、左FWで先発したアフガニスタン戦で結果を出して、そのポジションの一番手になったということ。トップ下はケガから復帰した清武がいて、2列目の人材は豊富です。清武も好調ですから、ハイレベルなポジション争いになってくると思いますよ」
デスク 「2列目に武藤も宇佐美もいて……そうなると1トップは岡崎しかいなくない?」
二宮 「1トップには大迫、興梠、川又らがこれまで入ってきていましたが、みんな外れました。監督はその1トップに、武藤の名前を挙げています。マインツでは2トップの一角でもプレーしていますし、今回はより得点にフォーカスすることを求められるでしょうね。会見では『ゴール前でまだまだ冷静さが足りない』との苦言もありましたが」
デスク 「このメンツで何か不安材料があるとしたら?」
二宮 「両サイドバックの先発候補である酒井高と長友は、所属クラブで出場機会に恵まれていない状況ですからね。監督もそのところは気にしているようです」