U-22チームのモチベーションは低かった。

　一方、負けて失うもののないチーム――。U-22日本代表候補にとってこのゲームは、あくまでも最終予選への強化の一環。いってみれば、練習試合の延長線上にあるようなゲームだった。集合したのは2日前。4日前のJ1・第2ステージ11節に出場し、3日後のJ1・第2ステージ12節への出場が濃厚な選手たちには、起用時間の制限が設けられてもいた。

　いくら霜田正浩日本サッカー協会技術委員長に「今日はユニフォームが違うけど、一枚脱げば、下に日の丸を背負っているんだぞ」と喝を入れられようと、手倉森監督から「最終予選の組み合わせが決まったあとの大事な試合だ」とハッパを掛けられようと、国際試合と同じテンション、同じモチベーションで臨むのは難しい。ケガを恐れる気持ちもあったことだろう。

テストが優先目標では、敗戦は必然。

「監督の言葉を聞いて、気持ちを高めて臨んだつもりでしたけど、多少のやりにくさはありました。（相手のモチベーションの高さ、激しさは）すごく感じましたね」

　そう語ったのは、前半キャプテンマークを巻いた川崎フロンターレのMF大島僚太だ。

「（浅野）拓磨の走るタイミングとか、チームとしていつ狙うのかとか、もう少し明確に臨めればよかった。自分たちから仕掛けて裏を狙うパスを出したり、タイミングを作ったりできれば、と思っていたんですけど、ほとんど引っかかってしまった印象です」

　この日、U-22日本代表の1トップに入ったのは、8月の東アジアカップでA代表に選出されたサンフレッチェ広島の浅野拓磨だった。

　浅野がこのチームで1トップを務めるのは、7月1日に行なわれたコスタリカ戦に続いて2試合目。前の試合に大島はコンディション不良のため、出場していない。この町田戦は、チームとしても大島としても、浅野の活かし方を探り、イメージをすり合わせる場でもあったのだ。

　また、リードを許した終盤にはセンターバックの植田直通（鹿島アントラーズ）を前線に上げ、パワープレーを敢行している。これも最終予選を睨んだテストで、ぶっつけ本番。敗戦は――必然だった。

【次ページ】　相手が町田であったことが不幸中の幸い。