セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
絶対王者ユーベが開幕から勝利なし。
新戦力、新戦術、新リーダーを検証!
posted2015/09/19 10:50
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
セリエAの絶対王者ユベントスが開幕から躓いた。
3節を終えた時点で手にした勝ち点はわずか1点のみ。1962-63年シーズン以来の非常事態で、順位も16位タイに沈んだ。
今季も優勝候補最右翼のはずの“老貴婦人”に、何が起きたのか。
ウディネーゼとローマを相手にまさかの開幕2連敗を喫した後、代表ウィークを挟んで、万全を期したはずの3節キエーボ戦でもユーベは脆かった。
ホームゲームにもかかわらず前半5分で先制され、勢いにのる相手にあらゆる局面で競り負けた。残り7分で得たPKをFWディバラが決めて、何とか1-1のドローに持ち込んだが、後半途中にキエーボDFチェサルの決めた2点目が誤審によって取り消されていなければ、3連敗していても決しておかしくない内容だった。
「ビダルやテベスの後釜なら、金を積めば探せないこともない。だがな、ピルロみたいな天才の代わりはどこにもいないんだよ!」
2節目に2-1でユーベを破ったローマのMFデロッシは、大一番の後、勝ち誇ったようにユーベの敗因を挙げた。
若手、外様が多く、カリスマもおらず……。
今夏、グラウンドで抜群のリーダーシップを発揮していた3人の主力がユーベを去った。
素行不良が目立つようになっていたMFビダル(バイエルン)については、率直にいって売り時だったと筆者は思っているが、FWテベス(ボカ・ジュ二オルス)とMFピルロ(NYシティ)の抜けた穴は、開幕戦のウディネーゼ戦から顕著だった。
今季の前線には若手や外様の新顔が多く、テベスが持っていた強烈なカリスマ性は消え去った。
中盤はいぶし銀のMFエルナネスで補強したが、MFマルキージオではピルロの代わりのプレーメーカーにはなり得ない。1人ですべてを解決できたプラティニやジダンの全能性を、若いMFポグバに期待するのはまだ無理がある。
スクデット争いのライバルが指摘する通り、王者不振の最大の原因は、“グラウンドの中のリーダーシップの不在”にある。