セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
絶対王者ユーベが開幕から勝利なし。
新戦力、新戦術、新リーダーを検証!
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2015/09/19 10:50
「国内リーグのように相手が引いていないので(CLは)戦いやすい」とアッレグリ。
先制されたが、逆転決勝ゴールを決めた。
敵地で前半から押される展開ながら、これまでより明らかに集中力をもって臨んだユーベは、57分の不運なオウンゴールにより先制されたことでより発奮した。
主将ブッフォンがミラクルセーブを連発した後、70分にMFポグバのアーリークロスを受けたFWマンジュキッチが同点弾を押し込み、81分には相手DFのクリアミスを拾ったFWモラタが、間髪入れず逆転決勝ゴールを叩きこんだ。一瞬の勝機を逃さない昨季のユーベが、欧州の舞台で甦ったのだ。
昨季、可変ディフェンスを用いて欧州で躍進したアッレグリは、4-3-3という新たな模範解答を見つけ出した。CLで難敵を破った智将は、自らのチームに再びユーベ魂と落ち着きをもたらした。
「自分たちをよく知る国内の相手の方がCLでのゲームよりやりにくい面はあるのは事実だ。だが、今夜の勝利はチームに自信を注入してくれたし、セリエAで挽回するための刺激になったよ」
新戦力と新戦術、新リーダーが融合すれば……。
新顔が多いチームに必要なのは、変化ではなく確実性のはずだが、アッレグリはその一歩先を行く。
もはや頼るべきテベスやピルロはいない。しかし、新戦力たちがアッレグリの新戦術やポグバら新リーダーと調和したとき、ユーベの本当の進撃が始まる。FWクアドラドの気も逸る。
「マンCに勝った後、ロッカールームで全員が『俺たちは強い』って団結したからね。ここから先、うちを止めるのは難しいよ。1試合1試合に勝って、最後には絶対タイトルレースに絡むのさ」
自信を取り戻したユベントス浮上は時間の問題だろう。現在首位のインテルも、ライバルのローマも、秋からがいよいよカンピオナートの本番だ、と気を引き締め直しているにちがいない。