錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
全米OP+25歳=四大大会初制覇?
世界が優勝候補と考える錦織圭。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/08/28 11:45
昨年、全米オープンの準決勝でジョコビッチと当たった時の錦織。今季は、日本人初だった四大大会決勝進出の、さらにその上を目指す。
モントリオールでの、かなり悪かった体調について。
また、多少気がかりなのが、モントリオール・マスターズの準決勝でかなり悪そうだった体調だ。
ウィンブルドンを棄権する原因となった左ふくらはぎの筋膜炎は完治しているのか、モントリオールでの不調は臀部の痛みということだったが、ふくらはぎからきているものではないのか、溜まった疲労は和らいだのか……。
ただ、体のことは本人も本当のことは言わないし(錦織の場合、本当のことを言っていないときはすぐにわかるのだが……)、時に本人にもわからないことだってある。それを他人が推し量るのは難しい。
昨年の錦織がいい例だ。足の手術明け、練習不足の状態であれよあれよと全米の決勝まで勝ち進んだ。
「(モントリオール準決勝のマレー戦は)100%の状態ではなかった。でも初めてラファ(ナダル)にも勝ったし、いい1週間だった。全米に向けていい準備になった。ケガは心配ないと思う」という言葉を今は信じるしかない。
怪我があるのは当然。むしろ「怪我の功名」も。
ワシントンで優勝、モントリオールでナダルを破って準決勝に進出した錦織について、マレーは「ウィンブルドンでケガした分、ハードコートへの準備が長くできているはずだ。その成果が出ている」と分析した。
マレー自身、ワシントンでは初戦でまさかの敗退を喫した。そして翌週のモントリオールで錦織、ジョコビッチも破って優勝している。
ケガや敗戦をいつまでも負のイメージにつなげるのは短絡的で、プレーヤーはいつだって「怪我の功名」を信じている。早く症状が出たことで思い切って決断できたシンシナティ・マスターズの欠場が、吉と出ればいいが……。