錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
全米OP+25歳=四大大会初制覇?
世界が優勝候補と考える錦織圭。
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/08/28 11:45
昨年、全米オープンの準決勝でジョコビッチと当たった時の錦織。今季は、日本人初だった四大大会決勝進出の、さらにその上を目指す。
全豪で勝つこと、全米で勝つこと、それぞれの意味。
翻訳の弊害か、真意をはかりかねるが、アジアに向けたコマーシャルを意識したのだろうか。
そうでなければ、全米オープンに対する思い入れの深さとともに、そこで実際に勝つ難しさをほのめかしているのではないか。
もちろん、全豪オープンだって難しい。しかし、トッププレーヤーがピークを合わせ難い年初の全豪オープンの優勝者には〈一発屋〉が多いと昔から言われてきたのに対して、全米オープンは後に世界王者に上り詰めるような実力者が若いときに制覇することの多い大会だった。
1990年のピート・サンプラス、2000年のマラト・サフィン、'01年のレイトン・ヒューイット、'03年のアンディ・ロディックといったのちの王者たちは、ここでグランドスラム初栄冠に輝いた。しかも皆21歳以下での戴冠だ。
少なくとも'70年代以降、26歳を過ぎたグランドスラム新チャンピオンはこの全米オープンでは誕生していない。
錦織の25歳という年齢が、非常に重要に思える理由。
シーズンも終盤にさしかかるこの時期、多くの選手が肉体的にどこか痛みや問題を抱えているといわれる。ここを乗り切るには健康な肉体と、確かな実力が求められる。
4億円にものぼるという優勝賞金も無関係ではないだろう。
錦織も含めてトップ選手は「お金のことは考えたことがない」と言う。偽りではないだろう。ただ、2万3000人も収容するセンターコートしかり、グランドスラムの中でも群を抜く膨大なスケールが作り出すムードというものもある。
錦織は25歳。
過去には2012年のアンディ・マレー、そして昨年のマリン・チリッチが25歳の全米でグランドスラム初制覇を果たした。これが最後のチャンスなどとは言わないが、前例を見れば気になる年齢ではある。