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最も好調な男、清武弘嗣の代表観。
「監督の指示」と「自分の判断」の間。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/26 16:30
代表合宿では長谷部と並んで先頭を走るなど、代表チームの中で存在感を発揮していた清武弘嗣。復帰後も絶好調は維持しているか。
「指示をサボるのではなく、判断とのバランス」
清武には、東アジアカップのメンバーに選ばれた選手たちが取り組んでいることを否定しようとする気は毛頭ない。むしろ、そこで代表の一員となって日本を背負って戦うという気持ちも感じた。
「みんな、たぶんわかっているとは思いますよ」
そう前置きしたうえで、清武はこう話した。
「どうしてもピッチの上では、選手たちがその場で判断しないといけないときは必ず来る。だから、監督の指示をサボるというのではなく、求められていることと状況に応じた判断とのバランスをとってやれればいいのかなと思います。ただ、まぁオレはいま代表がどうこう言えるわけじゃないので、まずはハノーファーで頑張ります!」
「火曜日には合流しますよ」と話した通り、8月25日の火曜日から清武はチームの全体練習に加わった。大事をとって、まだ全てのメニューをこなしてはいないが、完全復帰へ向け着実に前へ進んでいる。順調に行けば9月12日に行なわれるホームでのドルトムント戦ではメンバーに入ると見られている。
さすがに9月に行なわれるW杯2次予選を戦うメンバーには選ばれないだろうが、今季からハノーファーでエースナンバーの10番を背負う清武が、代表に復帰するのもそれほど時間がかからないはずだ。
香川真司も、ケガを乗り越えて大きくなった。
奇しくも、およそ4年半前に清武と同じ怪我を負った選手がいる。ドルトムントでの最初のシーズン、リーグ中断期間に行なわれたアジアカップで負傷した香川真司だ。ドルトムントでの最初のシーズンに輝かしい活躍を見せた彼が、2シーズン目も同じように活躍できるのか不安視する声もあった。
ところが、香川は2シーズン目には1シーズン目を上回るような活躍を見せて、ドルトムントがクラブ史上はじめて国内2冠を達成した際の立役者となった。香川は怪我を経て、一回り大きくなって帰ってきたのだ。
清武が同じように一皮むけた選手となる日が来ることや、その過程で風格と自信を兼ね備えて代表に戻り、この風向きをかえるような活躍を見せる日が来ることは、決して夢物語ではないのである。