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最も好調な男、清武弘嗣の代表観。
「監督の指示」と「自分の判断」の間。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/08/26 16:30
代表合宿では長谷部と並んで先頭を走るなど、代表チームの中で存在感を発揮していた清武弘嗣。復帰後も絶好調は維持しているか。
「監督のやりたいこと」に捉われすぎていた後悔。
改めて問うたのは、あのときの発言の真意だ。
なぜ、清武は監督の指示を尊重しつつ、ピッチの上で選手が自ら判断する必要性を頭に浮かべられたのだろうか。
清武は言葉を選びながら、丁寧に話し始めた。
「“3月のとき”は、監督のやりたいことをピッチの上で表現しようとしすぎていましたよね。どこかで自分の技術とか(を表現すること)を忘れていたし。そういうので精一杯で……」
清武には、少し悔いの残る試合がある。3月27日、トップ下で先発したチュニジア戦だ。ハリルホジッチ監督のもとで最初の試合だった。スタメンで起用され、意気に感じないはずがない。
「代表というのは監督の指示を忠実にやれる人が……」
しかし、監督から求められるものに応えようとするあまりに、自らの特長をチームのために活かすプレーが十分に出来なかった。監督の求めるものをこなすだけなら、他の誰かと交換可能な選手となってしまう。清武が選ばれたのは、『清武弘嗣』という選手の特長を活かしながら、監督の求めるものを実行すれば日本代表のためになると評価されたからなのだ。
地元大分で行なわれたチュニジア戦で、思うような結果は残せなかったが、得たものは決して小さくなかった。4日後に行なわれたウズベキスタン戦では出番こそなかったが、清武の頭のなかは次の活動に向けて整理されていたのだ。
「東アジアカップの試合もけっこう見ましたけど、監督がやりたいことをみんな、すごくしっかりと表現していましたよね。縦にすごく速かったし。やっぱり、監督がやりたいことを表現することが一番に来るじゃないですか。僕もそうでしたけど、代表にも生き残りたいわけでそれは当然です。代表というのは監督の指示を忠実にやれる人が使われるわけだし……」