セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
前半にアクションを起こすはずが……。
本田圭佑、開幕戦で奪われた“機会”。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/08/24 16:00
プレシーズンを好調で終えて迎えた開幕戦だったが、本田圭佑は突然のアクシデントでチーム事情から交代を余儀なくされた。トップ下として臨む今季は波乱含みのスタートだった。
後半途中からはフィオレンティーナは余裕の采配。
後半も半ばにかかると、今夏市場の目玉マリオ・スアレスが半ば“お披露目”的に起用され、満員のフランキは沸きに沸いた。今季から新しくフィオレンティーナの10番を背負うMFベルナルデスキは、左足にボールを吸い付けて、右へ左へパスを散らしながら、MFイリチッチやMFジルベルトと面白いようにプレーを紡いだ。夏の終わりのフランキは、ビオラ色のお祭りだった。
「今夜は中盤で負けた。35分までは互角にチャンスが作れていたはずだ。11人同士でやっていれば、とは思うが、今夜うちは負けるべくして負けた」
潔い言葉を並べたが、開幕戦黒星スタートのミハイロビッチはむすっとした表情だった。
若いセンターバックコンビ起用への疑問をぶつけられると、「私が選手を評価する基準は、良いか悪いかであって、若いか年寄りかは大した問題じゃない。確かにシーズンの初戦では、ベテランより若手の方が緊張からミスをしやすいのかもしれん。だが、私はたった1試合で選手へ評価を下さない」とロマニョーリらをかばった。
本田のセリエA3シーズン目は、波乱含みで始まった。
カンピオナートは始まったばかりだ。ミハイロビッチは、すでに2節目のエンポリ戦に頭を切り替えていた。
「我々にはやりたいサッカーの明確な理想がある。次の試合ではうまくやってみせる」
試合終了のホイッスル後、ベンチを出た本田はミラン・サポーターの応援団席まで行き、チームメイトらと挨拶をした。
ミックスゾーンを通らずにチームバスへ乗り込むと、近くの駅で特急に乗り換え、深夜のミラノへと帰っていった。
そしてその夜、イタリア中を揺るがしていたのはミラン敗戦のニュースではなかった。5連覇を目指すユベントスが、伏兵ウディネーゼに本拠地トリノで敗れる番狂わせが起き、カンピオナートは俄然色めき立った。
本田のセリエA3シーズン目は、波乱含みで始まった。