Survive PLUS ~頂点への道~BACK NUMBER
かつては格上だった相手に「余裕」。
吉田麻也がオランダで実感した成長。
posted2015/08/20 10:50
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
AFLO
オランダで迎える、久々の公式戦ピッチとなった。
8月6日、EL(ヨーロッパリーグ)予選・フィテッセ対サウサンプトンの2ndレグ。その前週に行われた1stレグで、サウサンプトンはホームで3-0の快勝。揚々と、オランダはアーネムの街に乗り込んできていた。
吉田麻也にとって、オランダは欧州でのキャリアをスタートさせた地。2010-11シーズンから2年間、VVVフェンロで研鑽を積んだ。オランダ1部・エールディビジの中でも下位にいた当時のVVVにあって、毎試合厳しい戦いを強いられることがほとんどだった。吉田も当時は「常にどんな試合でも攻め込まれることがほとんど。DFとしてセンターバック(CB)として、間違いなく良い経験になっている」と、苦笑交じりで語っていたことが思い出される。
7月、サウサンプトンはオランダでプレシーズンの試合を戦った。相手は、フェイエノールト。吉田がエールディビジで戦っていた頃は、当然格上だった有名クラブである。
その試合で、吉田はFKからヘディングでゴールを奪ってみせた。中盤のプレーメーカーであるスティーブン・デイビスが蹴ったボールの精度も高かったが、うまくマークを外してGKの逆を突くコースにシュートを放った吉田のプレーも素晴らしかった。
「今日の相手はタイトには感じなかった」
試合後、英語のインタビューでこんなことを話していた。
「普段、プレミアリーグではFKの場面で簡単にマークを外せたりフリーになれることは少ない。でもその経験が生きたのか、今日の相手のプレーはタイトには感じなかった」
さらにフィテッセとのEL予選1stレグでも、CBとして相手攻撃陣を寄せ付けない安定した守備を披露し、無失点で勝利した。
いずれも、3年前までは苦しんでいた相手である。それが今は、良い意味で余裕のある対応で、敵を退けるまでになっていた。
結局、2ndレグもサウサンプトンが2点を奪い、無失点でフィテッセに快勝した。