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A代表経験で加速する遠藤航の成長。
思い出された“先代”遠藤の言葉。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2015/08/18 10:50
同じく昇格1年目の山形、松本が降格圏で苦しむ中、J1中位につける湘南の中心選手に成長した遠藤航。「東アジア杯の数少ない収穫」と言われ、A代表にも定着なるか。
代表で学んだ、序盤から積極的に前へ飛び出すプレー。
清水戦では、東アジア杯の経験から得たという3つのプレーを見せてくれた。
1つは、アグレッシブな攻撃の姿勢だ。センターバックであれば、試合開始直後は様子を見て慎重にプレーするのが常套だ。だが遠藤は、開始早々から積極的に前線に飛び出していった。その後も隙を見ては前に出て行き、いつも以上にアグレッシブに動いていた。
「最初からアグレッシブに行くというのは、A代表に行って学んだことです。監督にも攻撃に関してアグレッシブさを出していいって言われたので。だから個人的に清水戦は、攻守に休まないこと、前に出てボールを受けたり、運動量を豊富にすることでチームを落ち着かせることを意識していました」
2つめは、強さと高さのある相手への対応である。清水のFWはチョン・テセとピーター・ウタカの2人で、ともにフィジカルの強さが特徴の選手だった。2人にボールが入った時は厳しく当たってボールを奪い、ボールをもたれた時は適当な距離を保ち、自由に仕事をさせなかった。
「東アジア杯で中国や韓国とか高さも強さもある選手と対峙したことで、相手との距離をより近くしてアプローチしてボールを奪い切るとか、自由にさせないとか、細かいところですけど自分の中で変えることができた。2人に対しては、そこを意識してやれました」
ただ、反省もある。後半16分、マークしたミッチェル・デュークに近づき過ぎてうまくセンタリングを上げられ、大前元紀に同点弾を決められた。痛恨の失点だったが「行きすぎてみて学ぶこともある」とポジティブにとらえている。そういうチャレンジができるのは気持ちに余裕があるからだろう。
サイドバックの経験も守り方にフィードバック。
3つめは、サイドバックの経験が生きた守備である。
東アジア杯では北朝鮮戦、韓国戦の2試合、遠藤は不慣れな右サイドバックでプレーした。当然サイドバックの守備は、いつものセンターバックやボランチとは異なるプレーが要求される。だが、サイドバックに置かれたことで学んだ守備のやり方が、清水戦で活かされたという。
「後半、相手が左サイドから仕掛けてきたけど、そこでの1対1の対応を始め、相手に早くアプローチするとか、クロスを上げさせないとかに加え、単にスペースをうめるだけじゃなくボールにアプローチする、奪いにいく、あるいはやらせない守備ができた。それはサイドバックをしたことでつかめた感があったんです」
後半、清水の左サイドに入った澤田崇の突破、さらに竹内涼、犬飼智也らに連携した攻撃を仕掛けられ遠藤は難しい対応を迫られたが、自由を与えない守備で失点を許さず、2-1で逃げ切った。