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チームオーダー無しのガチンコ対決!
だからMotoGPの優勝争いは面白い。
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2015/08/16 10:50
ロッシ、ロレンソ、マルケス、ペドロサの4強が4位までを占めたのはドイツGPに続き2戦連続。シーズンがいよいよ白熱しつつある。
チームオーダーがない分、自主的な助け合いが影響!?
これがF1だったら、チームオーダーへと発展していくのだろう。
しかし、グランプリに参戦する日本のバイクメーカーは、伝統的にチームオーダーを選手に強制することはない。
選手たちが自主的に助け合うことはあっても、チームからの要請でポジションを譲ったりすることはないのだ。
それが、以前のコラムで書いた「接戦になったら最後は友達の多い選手がチャンピオンになる」と言われるゆえんでもある。
今大会の優勝争いと3位争いは、まさにチャンピオン争いが大きな山場を迎えようとしていることを感じさせる展開だった。
ロッシとロレンソとのタイトル争いは、マルケスとペドロサのポジションが大きく影響するし、これからの展開次第ではマルケスが浮上するかもしれない。
欧州のバイクメーカーはチームオーダーを敷くが……。
そうなれば、ペドロサが今年のタイトル争いのキーを握ることになりそうだ。
ペドロサは2006年の最終戦にもつれ込んだチャンピオン争いで、ロッシと争っていたヘイデンをヘルプして、チームメイトのタイトル獲得に大きく貢献した。
その理由は、終盤戦の大事なレースでヘイデンに追突して転倒させてしまったから。罪滅ぼし的なサポートで珍しいケースだった。
これがヨーロッパのバイクメーカーだったら、露骨にチームオーダーをライダーに要求してくる可能性はある。
2009年の250ccチャンピオンの青山博一は、KTM時代にチームメートにポジションを譲ることを要求されていた。
最近ではスーパーバイク世界選手権でチームオーダーが連発している。
しかしホンダとヤマハのガチンコ対決となっているMotoGPクラスでは、自力で這い上がっていくしかなく、インディアナポリスGPのような緊張感あふれる戦いが続くことになる。