プレミアリーグの時間BACK NUMBER
プレミアの得点王に最も近い男は?
岡崎慎司はクラブ内では1番人気に。
posted2015/08/14 10:40
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
下馬評では、チェルシーの王座防衛が見込まれる今季のプレミアリーグ。2年ぶりの王座返り咲きを狙うマンチェスター・シティでは、マヌエル・ペジェグリーニ監督が「タイトル奪回は間違いない」と勇ましいが、開幕前週の『サンデー・タイムズ』紙などでは、昨季2位から4位への順位降下が予想されてもいる。
しかし一方個人部門では、シティ選手のタイトル防衛が有力視される。エースのセルヒオ・アグエロは、今夏のコパアメリカ出場でプレシーズン開始が遅れても、国内主要ブックメイカー(賭け屋)による今季プレミア得点王予想で、平均3倍という最も低い倍率をつけられているのだ。
アグエロが得点王候補筆頭の資格を持つことは、シティのファンならずとも認めるところ。このアルゼンチン代表FWは、移籍1年目だった2011-12シーズンにもリーグ戦で23得点を上げている真のワールドクラスだ。その後は怪我に泣いて10点台に留まるシーズンが続いたが、昨季は33試合に出場して26得点。1試合平均3.5本のシュート数でも他のFW陣を凌駕している。
指揮官がプレシーズン中に取り組んでいた3トップが採用されれば、前線両サイドのサポート役はダビド・シルバと、リバプールから英国人選手史上最高額で引き抜いたラヒーム・スターリング。さらに噂が現実となれば、昨季ブンデスリーガで21アシストのケビン・デブライネという演出家も加わるのだから得点機には事欠かない。
チェルシーのジエゴ・コスタとファルカオも有力。
対抗馬は平均オッズ5倍のジエゴ・コスタ。チェルシーの主砲は「プレミア向き」の前評判通り、移籍1年目の昨季に20得点を記録した。背後には、昨季プレミアの年間最優秀選手エデン・アザールや、アシスト王のセスク・ファブレガスが控えている。昨季加入直後に見せた開幕4試合で7得点というゴールラッシュは圧巻だった。
但し今季は、その開幕ダッシュが難しい。唯一の弱点とも言えるハムストリングの状態が思わしくないのだ。プレシーズン中は「もはや何の心配もない」と言っていた監督のジョゼ・モウリーニョも、開幕前哨戦にあたるコミュニティ・シールドで昨季FAカップ王者のアーセナルに敗れた(0-1)後には、ベンチにも入れられなかったジエゴの状態を「全く読めない」と嘆く有り様だった。
さらにモナコからレンタル移籍したラダメル・ファルカオの活躍次第では、怪我がなくともローテーションでジエゴの出場時間が減る可能性もある。そのファルカオに対する賭け率は、マンチェスター・ユナイテッドで僅か4得点に終わった昨季の失敗もあって平均20倍。復活を期待するチェルシー・ファンの間でも、さすがに「得点王」という言葉は囁かれていない。
とはいえ、DFとの肉弾戦を厭わず、1度ならず2度までもオーバーヘッドを試み、オフ・ザ・ボールでも休まず動いていたプレシーズン中の姿は、少なくとも心身両面で上向いていることをうかがわせる。少数派ではあるが、テレビ解説者のグレアム・スーネスのように「今季最高の新戦力になり得る」とまで言う識者もいる。