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ミランの新監督は実力主義の強面男。
ミハイロビッチと本田圭佑の相性は?
posted2015/07/01 10:50
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
AFLO
ミランの新シーズンが、7月8日に始まる。
6月の代表戦までフル稼働を続けたMF本田圭佑は今なお休暇中だが、ミラネッロ練習場でのプレシーズンキャンプとその後に控える中国ツアーへ備えるチームは、すでに激変しつつある。
前年の8位に続く昨季の10位という低迷は、ミラン関係者全員から夏の暑気を奪うのに十分だった。名門再建の奥の手であったはずのインザーギ監督は、シーズン終了後早々に解任。オーナーのベルルスコーニ元首相とガッリアーニ副会長は、新たに闘将ミハイロビッチを招聘した。かつてあった“ミランの監督職はクラブOBに限る”という不文律は、もはや存在しない。
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新監督ミハイロビッチは、昨季まで率いたサンプドリアで一流半以下の選手たちを闘う集団に生まれ変わらせ、ミランを上回る勝ち点56とEL予選出場権を勝ち取った強面指揮官だ。
「たとえ飢え死ぬするようなことがあっても、ミランの監督にだけはならない」
ミランの仇敵インテルでの現役時代もあったミハイロビッチは、引退後も旧友マンチーニのインテルでの第一次政権で副官を務め、「いつかインテルの監督になるのが夢」と語っていたほど、ネラッズーロ寄りの人物として知られていた。前述の発言は、5年前のカターニャ監督時代のものだが、シチリア島へ渡ってもミラノ・ダービーで鎬を削ったライバルクラブへの敵愾心はそれほど強かったのだ。
ミハイロビッチの4-3-3は、ミランとは内容が違う。
ミハイロビッチは、カターニャやフィオレンティーナなど、これまでに率いてきたチームで採用してきた4-3-3をミランでも試そうとするだろう。昨季後半戦のサンプドリアでは、センターに置いたFWオカカを、FWエトーとFWエデルとで挟む3トップを使った。前任者インザーギも、本田を右サイドFWに置く形で4-3-3を多用した。
ただし戦術は同じでも、昨季のサンプドリアが見せたゲームへの精神的アプローチや攻め方は、トランスファーフリー移籍でかき集められ、高年俸待遇によって腑抜けたミランの選手たちのそれとは別物だった。