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宝塚記念、ゴールドシップは走るのか。
3連覇めざす大本命の“死角”とは。
posted2015/06/27 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
上半期の王者を決める「春のグランプリ」第56回宝塚記念(6月28日、GI、阪神芝内回り2200m)が近づいてきた。
馬券的にも、注目度という意味でも主役となるのは、2年連続ファン投票1位に選出されたゴールドシップ(牡6歳、父ステイゴールド、栗東・須貝尚介厩舎)だろう。もし勝てば、史上初のJRA同一平地GI3連覇となる。
今度は走る番か、走らない番か……と、この馬が出るレースでは、いつも考えさせられる。
相手がどれだけ強くても、走る気になれば勝つし、その気にならなければ別の馬かと思うような負け方をする。2012年の菊花賞を勝ったあと、翌'13年の天皇賞・春と京都大賞典で5着、'14年の天皇賞・春で7着に敗れた京都芝コースは苦手になったのかと思いきや、今年の天皇賞・春では、序盤は控えて向正面から一気に動き、直線で止まりそうになりながらも、しぶとく伸びて勝った。典型的な負けパターンの競馬をしながら、「常識」を覆すレースで強さを見せつけた。
6歳でもさらに強くなっている感のゴールドシップ。
今週水曜日に栗東の坂路で行われた追い切りの動きはよく、その前後も比較的落ちついていた。
6歳でも力落ちしたどころか、さらに強くなっている。天皇賞・春で負けてからここに来た過去2年は、ともに2着を3馬身以上突き放し、レース史上初の連覇を果たした。天皇賞・春を勝って使われる今年のほうが、臨戦過程としてはいい。
8枠15番からのスタートとなるが、昨年は8枠11番、一昨年は8枠10番と、ともに8枠で、外から2番目だったのだから「好枠」と言えよう。阪神芝コースでは7戦6勝2着1回とパーフェクト。エピファネイア、ヴァンセンヌといった強敵が回避したことも「追い風」になっている。
母の父メジロマックイーンは、天皇賞・春3連覇がかかった1993年は2着に敗れた。「破常識」の強さを誇る同じ芦毛の孫が、偉大な祖父の果たせなかった大仕事をやってのける可能性は、けっして小さくない。