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歴史的立ち遅れで大波乱の宝塚記念。
それでもゴールドシップが愛される訳。
posted2015/06/29 11:15
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
ゲートがあくまでは、史上初のJRA平地同一GI3連覇を狙うゴールドシップの、ゴールドシップによる、ゴールドシップのためのグランプリになると思われたのだが、待っていたのは大波乱だった。
第56回宝塚記念(6月28日、GI、阪神芝内回り2200m)で、ゴールドシップは単勝1.9倍の圧倒的1番人気に支持された。返し馬では1頭だけ1コーナー付近で立ち止まって注目を集め、スタート地点に向かって走り出すと歓声が上がった。
目隠しをされ、他馬より先にゲートにすんなり入ると拍手が起きた。観客の視線を独り占めしていたゴールドシップはしかし、ゲートがあくときに後ろ脚で立ち上がってしまい、大きく出遅れた。悲鳴とどよめきが場内に満ちるなか、走り出したときには、他馬は10馬身ほど前を進んでいた。
時間にすると3秒ほどのロスか。この時点で、ゴールドシップの3度目の宝塚記念は実質的に終わってしまった。
横山典「これも込みでゴールドシップ」
騎乗した横山典弘は「あの馬らしいね」と振り返る。
「返し馬はいつもどおりだった。ゲートに入ってからもおとなしくしていたのに、あとちょっとでスタートというところで唸って、ああいう形になってしまった。なぜなのかは彼に訊かないとわかりません。買ってくれたお客さんには申し訳ないですが、これも込みでゴールドシップなんです」
管理する須貝尚介調教師は「競馬に参加していなかったね」と言い、こうつづけた。
「周りに馬が来るのが嫌なようで、ゲートに入ってから吠えていた。この馬だけは本当に何をするかわからない。右前脚をゲートに引っ掛けたので、様子を見て放牧に出したいと思っています」