月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
プチ鹿島が眺める6月の新聞世相。
野球界は独立リーグを中心に回る!?
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph byKyodo News
posted2015/06/21 11:00
いまだ浪人の身の元チームメイト・中村紀洋とも話したという46歳のローズ。スタイルはちょっとふっくらしても、打撃は健在だ。
スポニチ「カラバイヨ なんで日本語 うまいんヨ?」
さて、グランド内の話題に戻すと今月のキーワードは「独立リーグ」だった。
「カラバイヨ なんで日本語 うまいんヨ?」(スポーツニッポン・6月2日)
まさかの最下位オリックスで孤軍奮闘するカラバイヨ。2011年に一度はオリックスを戦力外となっており、4年ぶりの復帰は中島、ブランコら大型補強の保険的な位置付けだった。しかしこの時点で堂々の4番でチーム二冠王。そしてなにより成績以上にファンにインパクトを与えたのはその日本語。ヒーローインタビューで流ちょうすぎる日本語を話すたびにどよめくスタンド。もう、立派な「売り」といっていい。
カラバイヨは独立リーグは高知ファイティングドッグスと群馬ダイヤモンドペガサスを経験。
《日本でのキャリアは09年に高知でスタートした。チームに通訳はおらず、最初は初心者用のテキストを使って日本語を3カ月間勉強》
そして「高知時代、飲み歩いてたたき上げた」、「テレビ番組をみんなで見て、自分だけ笑っていないことがある。悔しい」という上達エピソードをスポニチは紹介。
BCリーグ群馬で一緒にプレーしたアレックス・ラミレス氏は「カラバイヨは人の言うことをしっかり聞く。これは異国で成功する上で大事。適応しようとする彼の努力は凄い」とコメント。
カラバイヨ、いいヨ! ちなみにフルネームはフランシスコ・カラバイヨ。あ、こっちは良いほうのフランシスコだ。
年俸360万の独立リーグ上がりの外国人がヒーローに!
カラバイヨだけではない。ヤクルトではこの男が旋風を巻き起こした。
「360万男 V満弾 格安デニング 森岡のバットでまたヒーロー」(日刊スポーツ・6月8日)
5月26日にBCリーグ・新潟から移籍し、まだ自分用のバットが間に合わないデニングが、同僚森岡良介のバットを借りて満塁ホームランを放つ大活躍。デニング、なんと年俸は360万円!
これ、プロ野球の新しい魅力の形ではないだろうか。年俸数億円のバリバリのメジャーリーガーの打撃を観るのもワクワクするが、観客よりも低い年俸の外国人選手が這いあがってくる姿にも夢がある。時代的にもこういう選手のほうが思い入れを呼ぶはず。ヤクルトの杉村コーチは「日本の野球に取り組もうという姿勢が素晴らしい。この謙虚さ、素直さがあれば、もっとよくなるよ」。