セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
CL決勝直前、ユベントスに緊急事態!!
圧倒的悲観論とテベス&モラタの覚悟。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/06/05 16:30
2年前、プラティニ、バッジオ、デル・ピエーロが受け継いできた“優雅な”10番をテベスが引き継ぐことに動揺するファンも多かった。今、彼の背番号に疑問を挟む者は誰もいない。
ブッフォン「うちが勝てる確率は35%以下」
バルサの化け物じみた南米トリオを相手にするには、最低でもフィジカルコンディションが完調にある11人を揃えなければ話にならない。
決勝戦を前に、ユベンティーノの間では「このバルサ相手にキエッリーニ抜きでは0-4で負ける」、「いや、5失点もありうる」と悲観論が飛び交い始めた。彼らの脳裏には、MFネドベドを累積警告による出場停止処分で欠き、ミランに敗れた12年前のファイナルの苦い記憶がちらつく。
「バルセロナはレアルより強い。うちが勝てる確率は35%以下だろう」
'03年大会決勝で敗れた悔しさを唯一知る主将ブッフォンも慎重だ。ベルリンへ発つ前日に、ユーベは絶体絶命のピンチに立たされた。
スクデットとコッパイタリアの2冠を前倒しで制したことで、アッレグリは比較的時間をかけて、ファイナルへの準備を進めることができた。
「この期に及んで、ビデオ研究に2時間も費やしたり、日に2度練習を重ねたりしても意味がない。肝要なのは、相手の選手の特徴を熟知しておくことだ。われわれにも得点するチャンスは必ず来る。その瞬間を逃さず、バルサを仕留めなければならない」
テベスの得点は1カ月止まっているが……。
ファイナル直前に陥った危機的状況に、奮起を期待されるのがFW陣だ。
エースFWテベスは、2-1で勝ったレアル・マドリーとの準決勝1stレグでのPK以来、1カ月も当たりが止まっている。シーズンを通してリードしてきたセリエA得点王レースでも、最後に失速してタイトルを獲り損ねた。
ただし、彼が持つゴールへの野性と“ビッグイヤー”への渇望は衰えていない。
2008年にマンチェスター・UでCLを獲ったとき、チームの主役は、あくまでFWルーニーとC・ロナウドだった。野獣テベスは、彼らの陰に追いやられた。
しかし、テベスはユーベで生まれ変わった。マルメとの今季開幕戦で約2000日ぶりにCLでゴールを挙げた後、自己ベストとなる大会7得点をマーク。ASモナコとの準々決勝2ndレグでは、試合直前に患った食中毒をおして強行フル出場し、セミファイナル進出の雄叫びを上げた。