セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
CL決勝直前、ユベントスに緊急事態!!
圧倒的悲観論とテベス&モラタの覚悟。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/06/05 16:30
2年前、プラティニ、バッジオ、デル・ピエーロが受け継いできた“優雅な”10番をテベスが引き継ぐことに動揺するファンも多かった。今、彼の背番号に疑問を挟む者は誰もいない。
ユーベの希望は、スペイン人FWモラタ。
欧州きっての名門ユーベの10番とイタリア4連覇王者の看板を背負っている自負が、今のテベスにはある。
ベルリンの決勝戦が終われば、すぐにコパ・アメリカが始まる。アルゼンチン代表の同僚FWメッシとの対決にも気負いはない。
「どちらにとっても、大事なのはチームが優勝することだけだ。レオ(・メッシ)は怪物で、バルセロナの優位は間違いない。やつらに勝つには、半端じゃねえ試合をやる必要がある」
そしてテベスと2トップを組む相棒として、決勝トーナメント以降、ラッキーボーイ的存在として大会の要所で決定的なゴールを決めてきたのがスペイン人FWのモラタだ。
指揮官からテベスとの相性を見込まれ、1年長くユーベにいる同胞FWジョレンテからのアドバイスを聞きいれながら、若いモラタはユーベ流に順応した。
ドルトムントとのベスト16ラウンドでは2ゴールを決め、チームをトーナメントの波に乗せると、古巣レアル・マドリーとの準決勝でも、ユベントス・スタジアムでの先制点と敵地ベルナベウでの同点ゴールを奪った。重い価値を持つ4発によって、トップフォームにある若武者は欧州のトップストライカーへと成長しつつある。
レアルの旧友たちから託された「バルサに勝て」。
マドリード出身である以上、モラタもバルセロナの強さは肌身で知っている。大会前のインタビューでは、「(FW)スアレスの動きをとりこもうと研究している」とも語った。
昨季王者の連覇の夢を絶った故郷マドリードでの夜、モラタは旧友であるGKカシージャスやDFセルヒオ・ラモス、MFイスコから欧州の今シーズン最後の一勝を託された。
「バルサに勝て。おまえたちなら勝てる」
満身創痍でも、古巣レアルを破った仲間たちの守備の底力を信じるモラタは、「一発勝負に有利も不利もない」と意を決した。
昨季王者から託されたバルサ打倒の思いと、'96年以来の欧州制覇を夢見るユベンティーノたちの悲願を込めて、6日夜のオリンピア・シュタディオンに、ユベントスは降り立つ。