テニスPRESSBACK NUMBER
錦織圭が全仏初戦で“凡戦”を演出!?
ピークを大会2週目に持ってくる理由。
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2015/05/25 11:30
昨年は故障が癒えぬままに初戦敗退を喫している全仏。「いい準備ができました」と大会前に語った錦織に、大いに期待したい。
ピークを第2週に持ってくるための大事な“凡戦”。
実績のあるベテランの挑戦をうまくかわし、接戦も予想された初戦を“凡戦”に変えてしまった意味は大きい。
錦織自身、マドリード、ローマと続いた転戦ではショットの精度が下がり、課題を抱えての全仏開幕だった。この試合でも、100%の出来には遠かった。しかし、今の彼にとって、四大大会の勝負どころは、強敵との対戦が想定される「第2週」であり、そこにピークを持っていくことが求められている。
山場にたどり着く前は、見ている者には凡戦でも、できるだけ無難に、静かに勝ち上がりたい。知力、体力、精神力を温存できる試合を一つでも増やしたいのだ。それには、この試合のように、自分はリスクを負わず、逆に相手にリスクを負わせるようなプレーは理想的と言える。
そう考えれば、この1回戦は間違いなく及第点の試合だった。錦織は、ローランギャロスの栄冠に向けて、静かに、しかし、しっかりと最初の一歩を踏み出した。