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新体操・個人でリオ五輪に挑む!
ロシアから逆輸入の「美しい日本人」。
text by
椎名桂子Keiko Shiina
photograph byNaoto Akasaka
posted2015/04/29 11:20
昨年の世界選手権(トルコ)では、個人総合決勝まで進出し、16位にまでくい込んだ早川さくら。今秋の世界選手権(シュツットガルト/9月)での雪辱なるか。
皆川「ロシアのヤナは、もっとすごいので」
「日本でベストの演技をしたい」という思いは同じだったろう皆川夏穂にとっては、この大会での後半2種目(クラブ、リボン)は悔いの残る演技になってしまっただろう。
山崎強化本部長によると「皆川は器用なので、演技の内容がかなり高度なものになっています。あれだけ内容が濃いと少しの狂いで、ミスが連発してしまうんです。いいコンディションでミスなく演技できれば世界のトップ10にも割って入れる内容の演技だと思います」と自信を見せた。
ところが当の皆川は、この日のミスを「疲れはあったが、それよりも自分の準備不足」と反省し、演技の内容についても「特別難しいことをしているとは思っていない」と言ってのけた。いわく「ロシアで一緒に練習しているヤナ(ヤナ・クドリャツェク/2013~14世界チャンピオン。巧緻性の高い手具操作には定評がある)は、もっとすごいので」
リオ五輪で、この2人が踊る姿が見たい!!
早川が見せた「日本を背負っているのだから、失敗はできない」という覚悟。
そして、皆川の「ヤナはもっとすごい」という悔しさ。
そこに垣間見えるのは、世界のトップレベルを身近に感じながら彼女たちが過ごしている過酷な日々である。そのどちらも、ここ10年の日本の個人選手たちには持ち得なかった貴重なメンタリティーなのだ。
彼女たちがロシアに渡って2年半が経とうとしている。
今年の9月の世界選手権で、果たして彼女たちは五輪への重い扉を開くことができるのだろうか。
「覚悟はできている」と早川さくらは言った。だから、もう私たちも言ってもいいかと思う。「リオ五輪という、夢の舞台であなたたちが踊る姿が見たい」と。
そう言って差し支えない選手に2人はなったのだ。