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「一番弟子」川崎宗則が思わず、
イチローの母親にかけた言葉とは。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byYukihito Taguchi
posted2015/04/28 11:00
自身のメジャー生活を、「通用はしてないけど、楽しんではいる(笑)」と語っている川﨑。
「苦しいことも山ほどあるし、腹が立つこともある」
インタビューでは、今もなお「野球小僧」の初心を失わない川崎の純真で前向きな言葉が紡がれていく。もちろん、そんな彼とて、絶え間ない逆境の日々に心挫けそうになる瞬間があるのだが。
「野球やってりゃ苦しいことも山ほどあるし、腹が立つこともある。いろいろ夢に出てきて、寝られないことだってある。でも、次の日、野球場に行ってボールを投げときゃ忘れるし、走れば忘れてる。もう15年ぐらい、そうやって過ごしてる」
15年前、鹿児島工業高校からドラフト4位でダイエーに入団した川崎にとって、プロとは「1年でクビになる」と確信したほど異次元の世界だった。そんな彼が心の支えとしたのが、イチローである。
「イチローさんみたいにはなれるんじゃないか」って閃き。
「あんなに体が細くても凄いプレーをしているのを見て、清原(和博)さんや秋山(幸二)さんにはなれなくても、イチローさんみたいにはなれるんじゃないか、って閃きがあったんだ。
そもそも俺は、イチローさんがいなければプロ野球選手になろうとも思わなかった。中学から高校まで、ほかの子たちが違う感じのビデオを見てる間、朝から晩までイチローさんのビデオを擦り切れるまで見てたから。それが俺の青春時代(笑)。お陰で非行に走らず、グレたりすることもなかった。
そう言えば冬の間、イチローさんのお母さんに会ったんだけど、思わず言っちゃったもんね。『イチローさんを産んでくださって、本当に有難うございました』って(笑)」
41歳にしてグラウンドに立ち、常に「野球が好き」というシンプルな行動原理を貫くイチローと、彼の生き様を範とすることをやめない川崎。強い絆で結ばれた二人の挑戦の日々に、今季も目が離せない。
なぜそんなに楽しそうなのか? プレッシャーに勝つ秘訣とは?
自分の息子が大きくなったときに自慢したいこととは?
その答えの中に、ベースボールを楽しみ続ける”野球小僧”の姿があった。
本編「ベースボールを、飽きるまで」は、Number876号でお読みください。