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「一番弟子」川崎宗則が思わず、
イチローの母親にかけた言葉とは。
posted2015/04/28 11:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Yukihito Taguchi
「いまだに英語はあまり、分からない。キャンプのミーティングもさっぱり分からなかったけど、毎年そうだから慣れちゃった(笑)」
ついさっきオープン戦を終えたばかりの川崎宗則が、遠征先のフロリダから自宅に戻る車中で口を開いた。メジャーのキャンプも終盤の3月25日。疲労がピークに達している中、Number876号の取材でライターのナガオ勝司氏の密着インタビューに応じてくれたのだ。
ナガオ氏がその場の様子を明かす。「車に乗った途端、川崎選手は『いやぁ、マジで花粉症にやられた。夜寝られない!』と言いながら欠伸を連発していました。ただでさえ今年はオフからずっと追い込んできて、疲れと筋肉痛で身体中がパンパンの状態です。でも家に帰ると、息子や奥さんがいて元気になるんだと言っていて。頑張ってるなあ、と実感しました」
なぜあえて茨の道を選ぼうとするのだろうか。
川崎は渡米4年目となる今年もブルージェイズとマイナー契約を結び、控えの内野手としてメジャー昇格を目指すがむしゃらな日々を送っている。少なくとも過去2年間はメジャーの舞台で一定の成績を残し、印象的な活躍もあった。このオフには、古巣のソフトバンクから現在の10倍以上の年俸で復帰を打診されたとも報じられた。それなのになぜ、彼は言葉も満足に通じない異国の地で、あえて茨の道を選ぼうとするのだろうか。
「あのグラウンドでノックを受けたりするのが好きなんです。天然芝って、打球が死んだり、あり得ないようなイレギュラーするの。『なんじゃこれ?』って打球が飛んでくる。メジャーリーガーとの差は毎日、感じてる。野球がうまくなりたくて、彼らのようなプレーがしてみたい。子供みたいだけど」