フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
プルシェンコの現役復帰を徹底検証!
フィギュアの偉大なる“皇帝”の足跡。
posted2015/04/27 10:40
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Akiko Tamura
代々木体育館で開催された国別対抗戦の最終日の4月19日、キャシー・リードが引退を宣言した。弟のクリス・リードと組んで全日本アイスダンスのタイトルを7回手にしてきたが、およそ10年に渡る競技生活に終止符を打った。
今シーズンは、10月に長い間にわたって日本の男子を牽引してきた高橋大輔が引退を表明。そして12月には町田樹が全日本選手権終了後、電撃的な引退宣言をして、大きなニュースにもなった。
どれほどの名選手にも、いつか競技生活を終える日は来る。
そうわかってはいても、多くの人々に感動を与えてくれた選手たちが現役の舞台から姿を消すたびに、やはり一抹の寂しさを感じないわけにはいかない。
「来シーズンはフルで競う」とプルシェンコ。
だがそんな中で、常識を覆してくれる超人が1人いた。2006年五輪チャンピオン、32歳のエフゲニー・プルシェンコだ。4月17日、ロシアのタス通信社の記者に現役復帰の意向をもらしたのだという。
「来季はフルシーズンで戦う。最終目的は、2018年五輪に出場すること」
そうコメントしたプルシェンコは、昨年と同じくバルセロナで開催されることになっているGPファイナルにも出場したい、ともらしているという。ということは、当然GPシリーズからフルシーズン試合にでるという意味だろう。それが実現すれば、2003-04年シーズン以来、11年ぶりのことになる。
まだ14歳だった……北米デビュー戦。
もちろん皇帝プルシェンコにも、シニアデビュー当時のあどけない時代はあった。
初めてプルシェンコを生で見たのは、1997年10月デトロイトで開催されたスケートアメリカである。小さな体にキラキラ光る衣装をまとい、存在感のある14歳だった。
先を急ぐことなく体を大きく使って、国際ジャッジたちを前に臆する様子もない。演技用の笑顔を浮かべるでもなく、「どうだ」と言いたげな、不敵なまでに堂々とした滑りだった。