MLB東奔西走BACK NUMBER
上原浩治、15年来の古傷とともに。
球団の絶対の信頼に“恩返し”を。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2015/04/08 10:30
プロ17年目、メジャーでは7年目のシーズンを迎えた上原浩治投手。リハビリを行ないながら、4月中の復帰を目指す。
10億円の2年契約という、破格の待遇。
シーズン中以上に中身の濃い毎日を過ごし、しかもオフもなかったのだから、疲労が蓄積されて当然である。その結果、遂にハムストリングが悲鳴をあげてしまったわけだ。
このキャンプ期間中に各チームから続々と選手負傷のニュースが飛び込んできたことからもわかるように、オフの少ないキャンプは、選手たちへの肉体的負担が相当大きいことが理解できるだろう。
とはいえ、シーズン開幕に照準を合わせることがすべてではない。
最も重要なことはシーズンを通して成績を残し、チームを助けることだ。出遅れは余儀なくされたが、復帰後の上原に期待されているのは2年前のような大車輪の活躍にほかならない。
特にこのオフはハンリー・ラミレス選手、パブロ・サンドバル選手など大型補強に成功し、再びレッドソックスは優勝候補の一角に名を連ねている。そしてオフの強化計画の1つがFAになった上原との再契約で、年俸900万ドル(約10億円)の2年契約という破格の条件で合意した。
ブルペンの投手では今もメジャー有数の評価。
今や最高年俸が3000万ドルを超えるメジャー球界。
破格という表現は大袈裟に聞こえるかもしれないが、今シーズンの年俸を見る限り、クローザーの最高年俸はジョナサン・パペルボン投手の1300万ドル。このオフに各チームが熾烈な獲得競争を繰り広げた中継ぎ左腕のアンドリュー・ミラー投手がヤンキースと4年契約で合意したものの、1年当たりの年俸は上原と同じ900万ドルだ。
日本では、「年俸21億円を蹴った男」として広島に復帰した黒田博樹投手が一躍注目の的になっているが、同じ1975年生まれの上原も、ポジションの違いで金額は下回るものの、メジャー球界で確固たる評価を受けているのがわかるだろう。
しかも、オプションではなく2年目の年俸も完全保証されているのだから、レッドソックスが上原にどれだけ信頼を寄せているかがわかる。
ちなみに年俸900万ドルは、メジャー7年目の上原にとって最高額であり、これまで40歳を超えた日本人メジャー選手(斎藤隆投手とイチロー選手)の中でも最高年俸である。
もちろんその待遇は、今シーズンのみならず来シーズンまで、チームやファンを納得させる成績を残さなければならないプレッシャーも上原に与えている。
「(今回の契約で)最初に来たのはまずは感謝ですね。あとは結果を残すしかない。それが恩返しというかお礼になると思う。そこまで自分にプレッシャーをかけると疲れるので、あまり考えないようにしたいと思う」