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上原浩治、15年来の古傷とともに。
球団の絶対の信頼に“恩返し”を。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2015/04/08 10:30

上原浩治、15年来の古傷とともに。球団の絶対の信頼に“恩返し”を。<Number Web> photograph by Getty Images

プロ17年目、メジャーでは7年目のシーズンを迎えた上原浩治投手。リハビリを行ないながら、4月中の復帰を目指す。

故障以上に厄介な「恐怖」というリミッター。

 巨人2年目の2000年に右脚のハムストリング負傷を初めて経験して以来、何度となく故障を繰り返してきた。

 そのため上原の脳裏には、常に“再発の恐怖”がつきまとっている。

 だからこそ再発してしまうと、ハムストリングの治療と並行して、無意識のうちに故障箇所を庇ってしまうメンタル面をもう一度リセットする作業が必要となってくる。

 つまり、実戦を重ねながら、頭の中にある“恐怖というリミッター”を押さえ込み、全力投球できる状態に戻さねばならない。それには、実際の治療以上に労力と時間が要る。

 上原が言うように、地道ながらも1日1日を積み重ねていくしかないのだ。

 もちろん、こんな形でのシーズン幕開けに上原は悔しさを感じていることだろう。昨シーズンは、終盤に成績を残せずクローザーの座を明け渡したままシーズンを終えていただけに、今シーズンに期する気持ちは相当強かったはずだ。

 日本で続けていた自主トレでもチームから与えられたメニューをしっかりこなし、万全の体調と肉体を作り上げてきた。キャンプイン後に行なったフィジカルチェックでは数値的には大きな変化はなかったというが、傍目からは大胸筋は以前より盛り上がり、腹筋も割れているのが確認できるほど絞れていた。

休みなく仕上げた身体は好調だったが……。

 キャンプ中もずっといい体調を維持してきたのだが、結果的にそれが裏目に出てしまった。

 「休みがないというのがダメでしたね。ここ(キャンプ施設)に来ること自体が疲れるから。本当は家で完全に休ませて欲しかったというのが本音です。

 20歳の選手と40歳の選手が一緒に練習をしてたらね。僕が抜けばいいことなんだろうけど、来たら抜くわけにはそう簡単にはいかないから」

 実は2月21日にキャンプインしてから負傷するまでオフは1日もなく、毎日練習を続けていた。

 グラウンドで全体練習をする日は、練習前に行なう1時間以上のトレーニングも欠かさず、チーム練習後もコンディショニングを含めメニューをこなし続けた。

【次ページ】 10億円の2年契約という、破格の待遇。

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