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米大学バスケ界に203cmのサムライ!
渡邊雄太はNCAAの頂点を目指す。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2015/04/03 10:30

米大学バスケ界に203cmのサムライ!渡邊雄太はNCAAの頂点を目指す。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

これからの課題は、ディフェンス力とリバウンドの強化だという渡邉。過去の日本人プレイヤー達の米国での活躍を越えられるか、期待がかかる。

あと一歩でNCAAトーナメント出場の夢が……。

 どれだけポジティブな性格でも、悔しい気持ちは湧いてくる。いや、ポジティブに上を目指しているからこそ、悔しい思いがつきまとうと言ったほうがいいのかもしれない。大学1年目の半年だけでも、幾度となく悔しい思いをした。

 中でも一番悔しいのは、今シーズン最大の目標だったNCAAトーナメントに出場できなかったことだ。

 アメリカの大学トップのNCAAディビジョン1に所属する351校の中から68校だけが出られるNCAAトーナメントの舞台は、アメリカの大学選手にとって憧れの場所だ。

 ジョージワシントンにとって、そこに出ることは決して夢物語ではなかった。少なくともシーズンの途中まで、それは現実的に手の届くところにあった。しかし、結果的には出場できないままにシーズンが終わった。

 今もテレビをつけると、そこでは、トーナメントの熱戦が繰り広げられている。その中には、ハワイで勝ったウィチタステイトや、同カンファレンスでシーズン中に戦ったチームもいる。

「もし、自分たちがここにいたら──」

 テレビの画面を見ると、そんな思いが湧いてきた。いてもたってもいられず、体育館に足を運んだ。1人でシュートを打ちながら、テレビで見た試合会場のコートで戦っている自分の姿を想像して、また悔しくなる。悔しさを紛らわすために練習に打ち込み、「来年こそは」という気持ちを強くするのだった。

絶不調に陥っても「スランプではない」。

 トーナメントに出られなかったことと並んで悔しかったのは、シーズン前半まで上り調子の活躍ができていたのに、途中から、相手に対応策を練られて失速してしまったこと。その結果、得意なはずのシュートも入らなくなり、どれだけ練習しても、そのスランプから抜け出せなくなってしまった。

 もっとも、渡邊自身は“スランプ”という言葉は好きではないという。

「スランプって言っておけば、言い訳の中でも、まだいい風に聞こえる。スランプとかでなく、ただ単に自分の練習不足や実力不足が原因で、調子を落としたんだと思います」と言い切る。

【次ページ】 苦しい時期の渡邊を支えた、幼少期の原体験。

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