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「今は自分の存在価値を証明したい」
長谷部誠が得た理想のポジション。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2015/03/20 10:40
長谷部誠は、欧州でプレーする日本人の中でも屈指の安定感を誇る選手であり、過去10試合以下の出場で終わったシーズンは一度もない。
「移籍をしてみて、初めてわかった部分でもある」
「ヴォルフスブルクにいたときは、ヴォルフスブルクのことしか知らなかった。だからブンデスの他のクラブの状況というのをあまりわからなかったんです。だけど移籍をしてみて、ニュルンベルクやフランクフルトと比べたら、ヴォルフスブルクは選手のクオリティが一番高い。そこで中盤として使ってもらえなかったのは自分の実力でもあるし、その高いレベルでは、自分はまだ認められていなかったということ。それはこうやって移籍をしてみて、初めてわかった部分でもある」
強豪クラブで優勝争いや欧州の大会を経験するというのも、もちろん選手として意味のあることだ。しかし、自分の力を最も発揮できるポジションでキャリアを積むことをファーストプライオリティとして、長谷部は移籍を決断した。
「自分はどちらかというとコンスタントにプレーできる選手」
そして現在、フランクフルトでは守備的ミッドフィルダーのレギュラーとして試合に起用され、地元紙の採点などでも今季の長谷部は高い評価を得ている。
「評価というのは第三者、自分以外の人がするもの。だから、もちろんそういうところも大事だけど、一番大事にしているのは自分がどう感じるかという部分。フランクフルトで課せられた役割というのは、ある程度自分とマッチしているのかなと思う」
年齢に相応しく、好不調の波を感じさせないプレーができる長谷部は、指揮官にとっても非常に頼もしい存在に違いない。
「このポジションは、チームのパフォーマンスにすごく影響を与えるポジション。もともと自分は、すごく良い時もなければ、すごく悪いときもない。どちらかというとコンスタントにプレーできる選手かなと思っている」
アギーレ体制の日本代表でもフランクフルトと同じ1ボランチで起用され、その能力を発揮していた。アジアカップでの結果は芳しいものではなかったが、代表と同じポジションをクラブでも務めていることの効果を、長谷部自身も感じていた。
「コンスタントにクラブで自分のポジションでプレーしていれば、代表へ行ったときに感覚的な部分で、正直すごく良いモノもあった。やりやすさというよりも感覚的なもの。身体の動きだとか、考えるスピードとか。だから言葉に表すのはなかなか難しいんですけど。
まあ、(アジアカップでは)結果が出なかったから、そんなことも言っていられないし、満足もしていないけれど」