欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
500人中、アジア人は藤田俊哉1人。
オランダで日本人が教える意味と壁。
posted2015/03/13 10:45
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
Kyodo News
妻と2人の子供を連れ、藤田俊哉は昨年、オランダに移住した。長女と長男も地元の学校に通い、休みの日には家族でオランダ国内やドイツの名所にまで足を伸ばすこともある。
行く先々で感じるのは、サッカーの身近さ。欧州は言わずと知れた、サッカー文化が息づく地。日本にいてももちろん知識や情報は入ってくるが、彼はその文化にまさに肌で触れることができている。
約10年前にはユトレヒトに移籍し、選手としてこの場で生活した経験はあった。しかし現役を引退し、本場の雰囲気にどっぷりと浸かった時に自分が何を感じることができるか。それを経験することも、藤田が渡欧した理由の一つだった。
小さなスタジアムにも、必ずビジネスラウンジが。
「サッカー文化は常に肌で感じている。でも、それを学ばないといけないとか、そういう堅苦しいスタンスではなくて。生活の中でサッカーを捉えるという、より自然体なイメージで接しようとしている。
欧州は生活の中でサッカーが占める比重が高い。チャンピオンズリーグみたいな大きな試合でも、年に数回しかないコンサートに行くような感じではなくて、あくまで生活に根ざしたスタジアムに楽しみに行くという感覚なんだと思う。
規模の大小や新旧は関係なく、スタジアムはどこも本当に面白い。その時々で意識して見る部分も違って、関係者と一緒のときはビジネスラウンジのホスピタリティとかにも目が行く。解説や取材で行けばメディアゾーンがどうなっているかも気になる。観客として行く場合は、駐車場の設備とかファンショップまでの動線とかに感心したりして。
例えば、VVVのホームスタジアムは収容人員が1万人にも満たないけど、それでもクラブのスポンサーや地元の関係者が歓談できるビジネスラウンジがしっかりある。欧州でこれまで見てきたスタジアムで、ビジネスラウンジがなかったところはなかったと思う。もちろんプレーヤーズルーム(試合後に選手や家族たちがくつろげる部屋)だってある。
サッカーを介したその土地のコミュニティが、しっかり存在しているということだと思う。ビジネスマン同士がサッカー場で顔を合わせて意見交換することもよくある。とにかく、地元経済や文化とサッカーが密接。それは歴史が作り上げたモノだろうね」