F1ピットストップBACK NUMBER
王者メルセデスはかつての“僚友”。
2015年のホンダが負けられない理由。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/03/12 10:40
ホンダは2月に行なわれたテストでの事故で負傷したフェルナンド・アロンソが欠場。ジェンソン・バトンとケビン・マグヌッセンで開幕を迎えることになる。
再挑戦のホンダにとっても待ちに待った開幕だが……。
そして、もうひとつ屈辱を晴らすべく、開幕の日を待っていた者たちがいる。それは、ホンダのスタッフだ。1勝しかできなかった第3期F1活動はホンダのスタッフにとって、屈辱以外の何物でもなかったはずだ。
しかも、7年前、苦渋の選択を強いられた後、ブラウンGPというチームがチャンピオンを獲得したマシンは、ホンダが開発してきたノウハウが詰まったものだった。そして、そのブラウンGPを買収したメルセデスAMGが昨年、再びタイトルを独占し、ディフェンディングチャンピオンとして、復帰するホンダの前に立ち塞がろうとしている。ホンダが戦おうとしている相手は、かつての僚友でもあるのだ。
しかし、ウインターテストでのホンダは苦しい状況が続き、開幕戦は大事をとってフェルナンド・アロンソが欠場。主戦を欠いたまま迎えることとなった。それでも、新井康久(専務執行役員/F1プロジェクト総責任者)は、きっぱりと言い切る。
「レースに参加する以上、現在トップにいるメルセデスAMGと対等に戦おうという目標を立てなければ、そこに参加する意義もなければ、意味もない」
2015年シーズンが盛り上がるかどうかは、彼ら負けられない者たちの戦いにかかっている。