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メルセデス以外、全チーム混沌!?
F1開幕戦、豪州GPが呆気無く終了。
posted2015/03/16 11:15
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Hiroshi Kaneko
「今日の午後のF1中継で、いったいどれくらいの時間、1-2フィニッシュを飾ったメルセデスが映っていただろうか。リードしていても、その差があまりに大きければ、エキサイティングじゃないから、プロデューサーはたとえ先頭ではなくても、バトルをしている別のポジションの戦いにカメラを切り替えるのは当然だよ。とはいっても、今日はメルセデス以外に走っているマシンの台数も多くなかったから、ハイライトは表彰式でのアーニー(アーノルド・シュワルツェネッガー)だったかもしれないね」
そう言って笑ったのは、レースで6位に終わったレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表だったが、それを聞いていたメディアの多くは、笑うに笑えなかった。というのも、例年シーズンの幕開け時に漂っている独特の華やかな雰囲気が、2015年の開幕戦にはあまり感じられなかったからだ。
理由はいくつかある。最初の理由は、レースする以前の問題が複数のチームで発生したからである。
二転三転したザウバーのドライバー問題!?
その1つ目のチームが、昨年まで所属していたギド・ヴァン・デル・ガルデとドライバー契約の問題を抱え、グランプリが行なわれるオーストラリア・メルボルンにまで来て裁判沙汰となっていたザウバーである。
グランプリが開幕する2日前に審理された裁判で、一旦はヴァン・デル・ガルデが出走権を勝ち得る。しかし、ヴァン・デル・ガルデにF1を走らせるために必要なスーパーライセンスがないことが判明。それでも、ヴァン・デル・ガルデが自らの権利を主張したため、ザウバーは金曜日の1回目のフリー走行でマシンをコースインさせることができなかった。
その後、ヴァン・デル・ガルデ側がオーストラリアGPでの出走権を放棄したため、ザウバーはフリー走行2回目からようやく走行を開始することができた。そのような状況の中で、今年ザウバーからF1デビューしたブラジル人のフェリペ・ナスルは「今週末はいろいろなことがあって、本当にドライビングに集中するのが難しかった」と、苦しかった胸の内を吐露していた。