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野球選手の「ピーク」は何歳なのか。
野手は20代、ブルペンは30代後半?
posted2015/03/10 10:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Getty Images
メジャーリーグのスプリング・トレーニングの取材でフロリダ、アリゾナを転戦中だ。
個人的に取り組んでいるテーマとして、「選手のピーク年齢は何歳に来るのか?」という質問をジェネラル・マネージャー、監督、選手などにぶつけている。
ジーターが引退し、チームのコア、核がいなくなったヤンキースは、先発野手が全員30代になりそうな気配だ。中長期的にはどんなチームになっていくのか、心配になってしまうほどである。
この問題について、マリナーズのジャック・ズーレンシックGMは、基本的な考え方を教えてくれた。
「当然、ピークに個人差があるのはご理解いただけるでしょう。ただし、一般的に言われているのは27歳、28歳のあたりに成績のピークが来る選手が多いということです。20代前半でメジャーリーグデビューした選手であれば、ちょうどフリーエージェントを迎える頃で、チームの顔になりつつあるといった年齢です。
われわれとしては、時には長い目で見て選手を育成し、我慢強くチャンスを与えていくことが必要になります。昨季から成長した選手が勝利に貢献してくれるようになりました」
昨季はポストシーズン進出まであと1勝足りなかったマリナーズだが、初めてのオールスター選出、そしてゴールドグラブ賞を受賞した三塁のカイル・シーガーがちょうど27歳。まさに、脂が乗ってきた年齢だ。
マリナーズは野手8人のうち、6人が20代と予想されている。野球の世界では、これから働き盛りを迎える選手たちだ。
30代の「核」と20代の働き盛り。
しかし、チームの「核」となると30代の選手になる。マリナーズの場合は、二塁手のロビンソン・カノーと、昨季オリオールズで本塁打王に輝き、今季からマリナーズに加入した右翼手のネルソン・クルーズがともに30代前半。
リーグを代表する選手ふたりと、これからピークを迎える若手の組み合わせ。今年のマリナーズが、かなり勝ち星を積み重ねそうなのは年齢構成からも見て取れるのだ。