MLB東奔西走BACK NUMBER
薬物使用のA・ロッドが現場に復帰!
“ヒール”の紳士的態度は本物か。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2015/03/08 10:35
3月4日に行なわれた、フィリーズとのオープン戦。第一打席でレフト前ヒットを放った、アレックス・ロドリゲス選手。
2013年の新聞のスクープで、再び一大スキャンダルに。
高校時代から恒常的に禁止薬物を使用していた、との証言が出ることもあれば、ヒト成長ホルモン(HGH)の不法所持で逮捕されたカナダ人医師の診察を受けていたことも明らかになった。
この間、ロドリゲスは沈黙を守り続けたが、2013年1月にマイアミの地元紙が、現地の医療機関がロドリゲスらメジャー選手たちに違法薬物を提供していたと報じ、再び一大薬物スキャンダルへと発展していった。
自らの非を認めようとしなかった、ロドリゲスの行動の数々。
しかも、騒動の真相究明が進むにつれ、ロドリゲスが証拠隠滅の裏工作を行なっていたことも判明し、さらに事態は悪化していく。
MLBの調査で名前の挙がった選手たちが続々と使用を認め、出場停止処分を受け入れる中、バド・セリグ=コミッショナー(当時)はロドリゲスに対し、211試合の出場停止処分を発表した。
しかし、それに不服を申し立て、試合に出場し続けたばかりか、MLBや選手会を提訴するという“逆ギレ”的な行動に出たのだ。
結局、その後、自分が孤立してしまったことを悟ると、今度は処分軽減を求め162試合の出場停止処分を受け入れたというわけだ。
まさに人の心を逆なでする悪行の限りを尽くしてきたわけだから、たった1年で彼に対する人々の意識が変わるはずもないだろう。
だが2年ぶりに復帰したロドリゲスは、明らかにヒールの表情を脱ぎ去ろうとしている。
2月上旬にヤンキースから一度は断られながらも球団オフィスを訪れ、フロントの人々に謝罪して回り、キャンプ直前にはヤンキースを通じてファンに向けて手書きの謝罪文を発表した。