MLB東奔西走BACK NUMBER
薬物使用のA・ロッドが現場に復帰!
“ヒール”の紳士的態度は本物か。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2015/03/08 10:35
3月4日に行なわれた、フィリーズとのオープン戦。第一打席でレフト前ヒットを放った、アレックス・ロドリゲス選手。
一変したメディアへの紳士的な対応は本物か?
そしてキャンプで直に取材をするメディアも、ロドリゲスの対応が以前より良くなったと一様に口を揃えている。2月23日に久々にキャンプ地に姿を見せた際も丁寧にメディアに対応していた。
「(処分中は)時折、自分のしたことを振り返り、すくんでしまうこともあった。しかし、きちんと処分を全うし、こうしてまたチャンスを与えてもらえることに感謝している」
もちろん、現在は禁止薬物の使用を完全否定しているのだが、果たしてこの紳士的対応は本当の改心から来るものなのか、それとも一流のヒールなりのシナリオなのだろうか。
かつて、ロドリゲスの前に存在した球界のヒール役といえば、バリー・ボンズ選手だった。彼もメディアとの確執が少なくなかったが、メディアの中に何人か心を許す記者が存在したため、彼らを通してボンズの本心を確認することができた。
しかしロドリゲスの場合、マリナーズ時代から今日まで、心の通じ合える記者の存在を聞いたことがない。つまり彼の現在の発言が、本当に本心からなのかを把握するのは難しいということだ。
冷静さを失わなかったA・ロッドの本心や如何に。
「ARod騒動の中でただ1人冷静さを失わなかったのは彼自身だった。彼はずっと冷静であり続けている」
2年ぶりのキャンプインで過熱報道が続く中、現場で取材していた『USAトゥデイ』紙のボブ・ナイチンゲール記者は、こうツイートした。
これまでのロドリゲスの言動を振り返れば、この冷静さは何ともいえない不気味さを醸し出している。
いずれにせよロドリゲスの契約は2017年まで残っている。39歳という年齢を考えれば、この3年間が彼の野球人生の集大成になるはずだ。
果たしてロドリゲス自身はどういう引き際を考えているのか。まだまだ波瀾が待ち受けていると考えるのは自分だけではないだろう。