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斎藤佑樹の方向性は間違っている!?
近年最好調のエンジンの活かし方。
posted2015/02/25 16:30
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
NIKKAN SPORTS
今年の斎藤佑樹はどうなのか――。
この問いかけは、もはや、この時期の「恒例行事」だ。
プロ4年で通算13勝の投手で、ここまで注目される選手というのも、それはそれですごい。
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今年はいい、などという報道が盛んにされているが、私の中では去年の変化の方が劇的だった。球の強さに限定すれば、初めて高校時代を超えたと思った。
今年は確かにさらによくなったように見えるが、あくまで昨年の延長線上の出来事に過ぎない。斎藤自身は、こう口にしている。
「去年は、もうこれ以上よくならないと思ったけど、(今年は)もっとよくなりましたね」
上半身が去年以上にリラックスしている。それだけに球の走りもいい。
斎藤は「今はとにかく力を抜くことだけを考えて投げてます」と事も無げに言うが、勝ち気な性格の斎藤にとって、その行為がどれだけ難しいことだったか。
「球はいいよね」という栗山監督のダメ出し。
3年目、肩の故障から復帰した年は特に顕著だった。
試合前、ベンチ前でキャッチボールをしているとき、よくこんなシーンが見られた。テークバックからボールを肩の上に持ち上げようとすると、足下にぽろりとボールが落ちる。それぐらい極端にボールを軽く握っておかないと、力を抜くことができなかったのだ。
ただ、「もっとよくなった」斎藤だが、ここまでの結果は芳しくない。
8日の紅白戦では2回を投げて1失点。14日のDeNAとの練習試合では3回を投げて2失点。22日のヤクルトとのオープン戦でも4回を投げて2失点した。
日本ハム監督の栗山英樹は「球はいいよね」と擁護するが、遠回しな「ダメ出し」に聞こえなくもない。