野球善哉BACK NUMBER
中日・大野のビッグマウスに異変?
芽生えはじめたエースの自覚と目標。
posted2015/02/25 12:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
NIKKAN SPORTS
大野雄大らしい言葉だと思った。
昨年の春季キャンプ中のこと。大野はこう大言壮語していたものだった。
「開幕投手を狙いたい」
その前のシーズンで大野は、プロ初の二桁勝利を挙げていた。中日が4位と低迷し、多くの選手が成績を落とす中、チームにとっても微かな光明であったことは間違いない。だが大野は、10勝を挙げたものの、10敗もしていた。防御率も3.81。開幕投手の資格があったかというと、少し首を傾げざるをえなかった。
それにもかかわらず、大野は「開幕投手を狙う」と宣言をしたのだ。その恐れ知らずの言葉に大野らしさを感じずにはいられなかった。
アマチュア時代から、強気な言葉を発してきた大野。
思い返してみると、大野雄大という男はアマチュア時代からそんな男だった。最速151kmの力強いストレートが持ち味だが、それ以上に彼の長所は、まっすぐに強者に立ち向かっていく姿勢だった。
京都外大西高時代はストレートを武器にしながら、エースナンバーを得ることができなかった。佛教大に進んでエースの座をつかむも、地方リーグということで脚光を浴びたのはドラフト前年からに過ぎない。
「絶対に負けてへんと思ってます」
当時、大野を取材するたびに耳に入ってきたのは、強気な言葉ばかり。大学3年秋の神宮大会に出場した時には、こんな発言までしていた。
「関西の大学リーグの選手がドラフト上位候補って騒がれるには、3年秋の神宮大会が大事やって思っていました。これまでも、関西の大学からプロに行かれた方たちがそうでしたから。今大会で、十分アピールできた。『大野雄大のボールはこれや!』って見せられたと思います」