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ガンバ、4冠へ向かって視界よし。
あえての少数精鋭は「個」のために。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/02/17 11:10
昨年、J2からの昇格1年目で3冠達成という偉業を成し遂げたガンバ大阪。今年秋には新スタジアムも完成予定で、2015年をなんとしてもエポックメイキングな年にしたいところだ。
「ビッグクラブになるには、ひとつでも多くタイトルを」
新たな課題に取り組むガンバだが、キャンプでは特に昨年と異なる練習を行なっていたわけではない。多少変わったのは、練習時間が大きく減り、ミーティングがほとんどなくなったことぐらいだ。
昨年は監督自ら守備練習まで直接指導するなど、全体を見る時間が少なかった。だが、今シーズンは守備はある程度、和田一郎コーチに任せ、監督は全体に睨みを利かせていた。そのせいか、練習はピリッとしてみな集中して取り組んでいる。それもあってか練習が1時間程度で終わることが多く、質を重視し、メリハリを意識していることが窺えた。ミーティングも1年目は頻繁に行なったが今は戦術が浸透し、あえて「ガンバのサッカー」を説明する必要がなくなった。そういうところからもチームが確実に次のステップに進行しているというのが見て取れる。
さて、最強チーム作りの過程にあるガンバにとって、今シーズンの大きな目標のひとつがアジア制覇だ。クラブもアジア戦略をビジネスとして重要なポイントに位置付けており、ビッグクラブへの足がかりとして本格的にアジア制覇にトライする。
「ACLは楽しみだよ。でも戦い方は変えないね。移動はそんなに苦にならないし、試合がつづくのも気にならない。オレはむしろそっちの方がいい。3冠の連覇と合わせて4冠を狙えるのはオレらだけなんだし、ビッグクラブになるためにはひとつでも多くのタイトルを獲らないと」
遠藤がそう語るように、今シーズンは24日のACL初戦に向けて仕上がりを早めた。
ただ、誤算もあった。二川孝広が風邪で出遅れ、西野貴治と井手口陽介がケガで離脱。今野もマリノス戦でアジアカップで負傷した左太もも裏を痛めた。それでも90分を戦える体力を作り、個の課題について手応えを掴んだ選手が多かった。
前人未到の4冠は、十分に射程距離に。
「あとはコンディションを整えていくだけ」
長谷川監督は、自信満々の表情でそう語った。
「まぁまだまだなところもあるけど、今はこんなもんでしょ」
遠藤は、余裕の表情を浮かべた。
落ち着いてブレない監督と、戦術を理解して臨機応変に戦うことに挑む選手たち。3冠を獲った自信と経験は、チームを次のステージへと進化させる原動力になっている。今のところ穴らしい穴はないが、あえて挙げるとすれば2ステージ制になり、スロースターターのガンバにどんな影響が出るのか。また、遠藤と今野の2人が代表やケガでの不在時、どうなるのか。
だが、明らかにはされなかったがその一手もすでに監督の懐に用意されているようだ。前人未到の4冠達成は、十分射程距離内にあると言えよう。