リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
会長の“お気に入り”ベイルの独尊。
ロナウドへの対抗心と、及ばぬ実力。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2015/02/12 16:30
レアル・マドリーの二枚看板であるクリスティアーノ・ロナウドとギャレス・ベイル。まだロナウドのエースの座は磐石だが、ベイルは下克上に成功するのか。
個人主義はフォワードの宿命だが……。
ちなみにアルメリア戦で「ベイルがパスを出していたら……」とされた相手もやはりクリスティアーノである。
フォワードの個人プレイは、正誤の判断が難しいテーマだ。
古い名前を出して恐縮だが、'04-'05シーズンのベティスで22ゴールを記録し、フォルラン、エトーに次ぐ得点ランキング3位となったブラジル人オリベイラは、「行き過ぎた個人主義者」と広く謗られていることについて問われた際、こう答えている。
「自分を個人主義者だとは思わない。俺はフォワード。ゴールを決めなきゃならない」
得点という大義名分がある以上、ある程度の自分勝手は許されて然るべきというわけだ。
もっともベイルの場合、クリスティアーノへのライバル心がプレイに影響を及ぼしている可能性がある。
自分がペレスのお気に入りであることを自覚している。
ペレス会長のお気に入りが、カルデロン元会長期に入団したクリスティアーノではなく自分であることを知っているベイルは、ペレスの戦略としてエースの座もやがて自分ものになることを承知している。年齢も先日30歳の誕生日を迎えたクリスティアーノに対し、ベイルはまだ25歳だ。
しかし、だからといって自分の時代の到来を胡坐をかいて待つ気はなく、今シーズンはクリスティアーノの王座を実力で脅かすことを意識して試合に臨んでいる。
その意気込みが得点への執着となって、彼のプレイに妙な方向付けをしているのかもしれない。
いずれにせよ、個人プレイ過多を指摘されているベイルは1月末、人気ラジオ番組に出演し、「個人主義者」と呼ばれることについて自分の見解を語った。
「見方は人それぞれだろう。俺はピッチに立ったらアシストするし、ゴールも決める。自分のやり方でプレイするし、そうしたいと思ってる。メディアは言いたいことを言ってればいい」
さらに、問題となったバレンシア戦とエスパニョール戦のプレイに関して釈明した。
「俺がゴールを決めていれば、誰も何も言わなかったはずだ。あのときクリスティアーノは目に入らなかった。後で映像を見たけれど、パスを出すのは難しかったと思う」