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フェライニ「まあ、親善試合だから」
強化試合を巡る強豪国の本音と目的。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2015/02/09 10:30
フェライニは2013年9月にエバートンからマンチェスター・ユナイテッドに移籍したが、故障もあったせいで先発12試合に留まっていた。今季はレギュラーとして活躍。
フェライニ「まあ、あくまで親善試合だから」
ベルギー代表のフェライニのブースに行くと、瓜二つのアフロヘアの弟が待っていた。彼のアテンドで着席すると、より迫力のある“本者”が現れた。
与えられた時間は15分。率直に2013年11月にブリュッセルで行なわれた日本戦のことをぶつけた。
フェライニは苦笑いしながら切り出した。
「もちろん覚えているさ。ベルギーは2-3で敗れたからね。日本はスピードがあって、技術があり、質の高いスタイルのサッカーをしていて、タフなゲームになった。選手で良く覚えているのは本田(圭佑)、そしてチームメイトだった香川(真司)だ。すごく技術のある2人だ。
ベルギーとしては日本よりもフィジカルで優っており、だからビルモッツ監督は後半から僕を投入したんだと思う。結局は負けてしまったけどね」
ただし、とフェライニは続けた。
「まあ、あくまで親善試合だから。ベルギーはW杯予選の突破を決めて、試合をするうえでのベースを失っていた。サッカーにはよくあることで、それほどシリアスには受け止めなかったよ」
彼らにとって、あの日本戦はあくまで“実験の場”だったという。
「試合前、ビルモッツ監督が言ったのは、『W杯でアジアのチームと対戦することを想定して、今日はそのテストにする』ということだった。大事なのは、アジア特有の速さやプレーに慣れることだったんだ。おかげで僕たちはW杯本番で韓国に勝つことができた。つまり結果的に、僕たちはあの親善試合に本当の意味で勝ったということだ」
「香川はパワーを補おうとする必要なんてない」
話が脱線するが、インタビューを進めていくと、フェライニは香川の状況を訊いてきた。
「香川は移籍先で試合に出られているのか? もし僕が何か言えるとしたら、自分の力を信じればいいということだ。パワーを補おうとして、フィジカルをつける必要なんてない。あのテクニックを試合で出せば、結果が出ないわけがない」
昨季、フェライニは新天地のマンチェスター・ユナイテッドにおいて、香川と同じく不遇の1年をすごした。だからこそかつての同僚の現状が気になるのだろう。