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全国男子駅伝でも吹いた青学大旋風。
明暗が分かれた、新旧の“山の神”。
posted2015/01/19 16:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
第20回を迎えた全国都道府県対抗男子駅伝は埼玉が初優勝を飾ったが、大会としては「箱根駅伝オールスター」の様相を呈してきた。
かつての箱根のスターと現役大学生が同じ区間で戦い、力比べをする。また、高校生区間では大学進学予定の有望な選手が顔見世的に走り、未来の想像図も描ける。
大会としての存在価値が年々、高まっている気がする。
2代目“山の神”柏原竜二にはもう少し時間が必要か。
今回、やはり気になったのは3区を走った柏原竜二(東洋大→富士通)だ。
生まれ故郷の福島ではなく、千葉からの出場となったが、4位でタスキを受けると先行する埼玉、静岡、福岡を積極的に追った。レース序盤から顔をゆがめ、先行するランナーを全力で追いかける姿こそ、柏原の真骨頂だ。
しかしこの日、柏原は伸びを欠いた。後ろから軽快に追いかけてきた熊本の久保田和真(青山学院大3年)に抜かれたのが象徴的なシーンだった。終わってみれば、区間23位で番手を6つ下げていた。
社会人になって3年目、なかなかブレイクスルーができないもどかしさが柏原にはあるだろう。卒業直前、高橋尚子氏との対談で「ハーフマラソンでスピードを磨いて、そこからフルマラソンに挑戦したいと思っています」と希望を語っていたが、ケガもあって、思ったような強化ができていない。
まずは、春からのトラックシーズンでの5000m、10000mの自己ベスト更新に期待がかかる。フルマラソンデビューは、もう少し時間が必要だろう。
初代・山の神、今井正人(順天堂大→トヨタ自動車九州)の例をひくまでもなく、山の神と呼ばれた男は、ずっと注目を浴びる存在となる。なにか、きっかけとなる走りが柏原には欲しい。