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代表を落選、クラブでは悪戦苦闘。
それでも大迫勇也は「迎合」しない。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/01/06 10:40
大迫勇也の所属するケルンは1トップを採用している。FW以外での出場を強いられることも多いが、「やりたいのは一番前」という意志は折れていない。
大迫「アジアカップが全てじゃないし」
守備的な戦いに終始しているチームの課題については、こんな風に分析する。
「前がかりになって、(相手のカウンター時に)数的同数になったら守れないから、そこを気にしてやっていると思います。ただ、点を獲らないとやっぱり勝てないのでね」
そして、自分の役割については迷うことなくこう答えた。
「もっと周り(の選手)に要求することが大事かな。もちろん、今もしているけど、まだまだ足りないと思うから。特に、ゴール前にいるときはもっともっと要求していかないとね」
日本代表には9月の試合以来招集されず、アジアカップのメンバーからも外れたことについても、悲観してはいない。
「しょうがないでしょう。アジアカップが全てじゃないし。逆に、良かったのかなとポジティブにとらえているけどね。チームで色々とやれる時間があるわけだから」
日本代表がアジアカップに向けて準備を本格化させるころ、ケルンはウインターブレイクを終えてシーズン後半戦に向けての新たなスタートを切る。1月5日に練習が始まり、1月8日から18日までアメリカのフロリダ州でキャンプを張り、後半戦の躍進を目指している。
チームは攻撃的なMFを獲得リストの最優先に。
11位で前半戦を折り返したケルンの首脳陣は、得点力不足の解消のために冬の移籍期間に新たな選手の獲得を目指していると地元メディアは一様に報じている。ただ、フォワードではなく、攻撃的なミッドフィルダーのポジションの選手の獲得が最優先されるようだ。また、現在の4-1-4-1や4-2-3-1を基本としたフォーメーションも変わる可能性が十分にあるとビルト紙は指摘している。
そんなウインターブレイクを前に、大迫について問われたシュテーガー監督はこう話した。
「彼が新たなスタートを切るための時間を我々はこれから与えるつもりだ」
もちろん、現状を変えるのは決して簡単ではない。ただ、試行錯誤した末に、大迫がゴール前でストライカーとして勝負したいという結論に達した意味は決して小さくはない。