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代表を落選、クラブでは悪戦苦闘。
それでも大迫勇也は「迎合」しない。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/01/06 10:40
大迫勇也の所属するケルンは1トップを採用している。FW以外での出場を強いられることも多いが、「やりたいのは一番前」という意志は折れていない。
「言われたことをやるだけなら、俺じゃない」
2014年W杯を直後に控えた昨シーズンのこと。「チームのやり方に慣れないといけない」とか、「監督の求めるものに応えていきたい」と、日本代表のレギュラーポジションをとっていない選手の多くが語っているかたわら、自分の特長や良さをピッチで表現していく必要性を大迫はくり返し説いていた。
多くの選手とは異なり、自分の良さをチームに還元する必要性を説く理由について彼がこう語っていたことを思い出した。
「言われていることだけをするようなら俺じゃないと思う。それだけでは選手の特長がなくなりそうな気がするし、言われたことだけをやるのなら誰にでも出来るでしょう」
冬の移籍市場で新たな選手を獲得するといっても、シュテーガー監督が守備的な戦い方を選んでいる以上、ケルンの得点力不足を解消するのは容易ではないだろう。
それでも――。
腐ることも、不満をぶちまけることもない。それでいて自分の良さをチームに還元することでチームの力になろうと考えられる大迫からは、何かをやってのけそうな気配が漂ってくるのだ。