箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
監督の情熱が刻む、新たな歴史。
青学大「箱根優勝も夢じゃない!」
posted2014/12/09 10:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Nanae Suzuki
選手が走り終えて宿舎に帰ってくると、そのあとから、原晋監督が自転車に乗ってやってきた。
「選手たちの後ろを自転車で走っとるのよ。おかげで少し痩せました(笑)。私がすっきりする必要はないけれど、選手たちはいい顔になってきとるでしょ。自信が出てきたね」
青山学院大の夏合宿での風景だ。秋の実りは、この時点から予測できていたのかもしれない――。
それから2カ月後の伊勢。全日本大学駅伝の閉会式場で、原監督は選手に語りかけていた。
「優勝というのは、もう夢じゃなくて現実だということがみんな分かったでしょ? これまでは箱根を走るにしても、『富士山がきれいだなあ』とか、お祭り気分だったけど、戦いにいけるようになったってこと。『優勝』は夢じゃないからね」
全日本で青学大は見せ場を作った。各選手が安定した力を発揮してタスキをつなぎ、最終8区で明大に逆転されたものの、1秒差の3位。箱根でも「主役」になれる実力があることを証明した。
2年半前のリクルーティングが約束した成功。
振り返ってみれば、青学大の躍進は2012年の春から約束されていた。高校時代からトラック、駅伝で活躍してきた有望な新入生がドッと入学してきたからである。
久保田和真(九州学院)
小椋裕介 (札幌山の手)
渡邊心 (世羅)
村井駿 (西武台千葉)
神野大地 (中京大中京)
原監督は彼らの成長に目を細める。
「この選手たちが上級生になった時には優勝も狙えるな、と思ってました。実際には彼らが入学してきた年に、いきなり出雲駅伝で優勝してしまいましたが(笑)。高校時代の実績は久保田がナンバーワンでしたが、大学に入って神野が成長して、前回の箱根では2区を走るまでになりました。お互いが刺激し合って、いい形で成長してくれました」