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大谷翔平がバッター体型に変化中!?
MLBから届いた二刀流への“警鐘”。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

PROFILE

photograph byNaoya Sanuki

posted2014/12/03 10:40

大谷翔平がバッター体型に変化中!?MLBから届いた二刀流への“警鐘”。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

日米野球では160kmのストレートでメジャーリーガーに真っ向勝負を挑み、日米の両球界で話題を集めた大谷翔平。

徐々にスラッガー体型に変化した中田翔。

 ところが、一冬を越えると、中田の身体は様変わりしていた。「ピッチャーと打者のどちらかに決める必要はない」というチームの指導方針もあって、中心は投手であったものの、中田の身体は、徐々に大きくなり始めた。ピッチャー体型からスラッガー体型に変わりつつあったのだ。

 そして、その身体の変化がさらに加速したのが2年の春、登板中に右ひじを痛めてからのことだった。

 投手としての登板がなくなると、打者としての出場機会を増やした中田の身体は、完全にバッターのそれになっていった。体重は前年より11kgもアップし、1年間で51本塁打を記録。

 それでも2年秋に投手として復活登板し、近畿大会の1回戦・天理戦で4安打完封といういい投球を見せたが、翌年のセンバツではさらに投手らしさが消えていた。

自身の投球フォームを見て、悩んでいた。

 高校3年の夏が終わったころ、中田が自身の投球フォームの写真を見て、話していたことがあった。それは彼が投手を諦めて、打者に専念する要因を明らかにする言葉にも聞こえた。

「この写真を見てください。右の腰がセンター方向に残っているでしょ。本当はこうなっちゃダメなんですよ。昔はこれが前に体重を乗せていけていた。怪我で投げられなくなって、復帰してから右側の腰が回らなくなった」

 冒頭、中田にはメンタルに投手適性がなかったと書いたが、もしかするとこの言葉にあるように、思い通りに動かなくなった自身の身体の変化を誰よりも感じていたから、プロに入る時に「投手」の道を捨てたのかもしれない。

 中田の例ひとつをとってみても、投手と打者とで身体の鍛え方が違ってくるという観点は間違いないと思う。しかも大谷は、投打で下半身の体重移動が真逆になる「右投げ左打ち」なのだからなおさらだ。

【次ページ】 「MLBの投手は、上半身のウェイトはしない」

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