「バッターの身体になりつつある」という指摘。

「大谷投手は、バッターの身体になりつつある」

　そのMLBの関係者は、大谷についてこう指摘した。

　花巻東高時代の大谷のピッチングを知る彼は、二刀流が大谷に与え始めている影響を次のように解説した。

「高校時代の大谷投手は、ピッチャーとして理想といえる“なで肩”をしていました。今の大谷選手は、バッターとしてのトレーニングをしている影響でしょうか、筋肉がついてきて、なで肩ではなくなっているように思います。

　その影響で、肘が自然な形で上がっていないのです。193cmの身長の割には、投げるボールに角度がなくなっています」

　これまで、大谷の二刀流に関しての否定的な意見としては、投手をやっていない時に打者をやることの疲労感や、そこから故障が誘発されるという論点が多かった。それだけに、この指摘には非常に驚かされた。身体の変化が投球のメカニズムに影響するという観点は、分析力に長けたMLB関係者ならではの指摘といえるかもしれない。

　今年、1月24日付のスポーツ紙の報道によると、1月時点で大谷の胸囲が入団時の98cmから106cmまで変化していたという。もちろん、胸囲だけがすべてを表すわけではないが、そうやって胸のサイズに変化があるということは、他の部分にも筋肉の形やつき方に変化がある可能性は高い。

身体の変化で思い出す、中田翔。

　身体の変化で思い出すのは、エースで4番として、高校時代に驚異的な力を見せた中田翔である。

　中田は高校の1年夏、183cm80kgのほっそりとした身体つきをしていた。

　投げては1年生にしてストレートが147km、カーブ、スライダー、カットボールなど、多彩な変化球を持ち、クイックは、1.1秒～1.25秒、投手としてのセンスには非凡なものがあった。

　甲子園の1回戦・春日部共栄戦では勝ち越し本塁打を放つなど、バッティングにも力はあったが、当時は本人が希望していたこともあって「投手・中田」が基本線だった。

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