野ボール横丁BACK NUMBER
二刀流の可能性は証明されたが……。
大谷に続く者が現れないと思う理由。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/11/26 10:30
日米野球でもメジャーリーガーを相手に最速160kmのストレートで立ち向かい、全米に衝撃を与えた大谷翔平。日本で、二刀流が見られるのはいつまでだろうか。
ある意味、技術以上に凄まじい「体力」。
先発経験もある日本ハムのストッパー増井浩俊が言っていた。
「1日しか休んでないわけですからね。普通、まだパンパンで、バットなんか振る気にならないと思いますよ。年齢的なものもあるかと思いますけど、僕もリリーフで1回投げただけでも翌日はマッサージをしないと体が動かないですから。二刀流なんて想像つかないですね」
二刀流が可能な理由として大谷の技術的な面ばかりが語られるが、ある意味、それ以上にすごいのは体力である。
選手として興味はあってもそれを軽々しく口にできないのは、それを直感的に感じ取っているからではないか。
やはり、大谷以外に二刀流はできないのでは。
オリックス1位の山崎福也(明治大)も大学2年までは投手兼野手をこなしていたが、大学3年でエースに定着すると同時に投手に専念した。大学野球でさえ難しいのだ。
大谷にしても、本人の第一希望通り高校卒業と同時にアメリカへ渡っていたら、おそらく投手一本に絞っていたに違いない。
ところが、日本ハムがドラフト会議で強行指名し交渉権を獲得。大谷の意志を翻意させるためにはメジャーに負けない「夢」を提示する必要があった。そこで半ば思いつきで浮上したのが二刀流案だった。そうした偶然も重なり、球団として全面的に二刀流案に協力する環境が整ったという背景もある。
大谷が「できる」ことを示したとはいえ、バックグラウンドも含めいろいろなことを考えれば考えるほど、やはり大谷以外にできない気がしてくるのだ。